ロシアのプーチン大統領は7日、サンクトペテルブルクでの国際経済フォーラムで演説し、「全世界に自国の管轄権を押しつけている」と米国を激しく批判した。同じく演説しながら米国を名指しする批判を避けた中国の習近平(シーチンピン)国家主席と対照的な姿勢を見せた。
プーチン氏と習氏は、フォーラム2日目の全体会合に出席。プーチン氏は近年の世界経済の停滞原因について、新興国の成長を取り込んだ経済秩序ができなかったことにあると主張。ロシアからドイツへ天然ガスを運ぶため建設中のパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関しては、米国を念頭に「ロシアと欧州の利益にかなうのに、現存の秩序の中でやりたい放題に慣れきった者がしつこく壊そうとしている」と述べた。
さらに次世代通信規格「5G」をめぐっても中国の華為技術(ファーウェイ)を排除しようとする米国を激しく批判した。
一方、習氏は「中国は持続的な成長のため国際的な協調を重視している」と強調。「反グローバリズムや覇権主義の台頭で、国際社会は新たな試練に直面している」と話したが、「5Gの分野で技術を分かち合いたい」と述べ、米国を直接批判するのは避けた。
両首脳は5日の首脳会談で経済と安全保障で米国を批判する共同声明に署名した。ただ、対米関係の改善に糸口が見えないプーチン氏に対し、習氏は米国との貿易摩擦の決着を模索する。主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前に過度に刺激するのは得策でないと考えた可能性がある。(サンクトペテルブルク=喜田尚)