抗がん剤治療などで髪の毛を失ったタイのがん患者らのために、かつら大手のアデランス(本社・東京)が18日、バンコクの国立がんセンターなどに医療用のかつらを贈った。社会貢献の一環として2012年から毎年続けており、今年は7月にかけて三つの病院に計130個を寄贈する。
同社は1986年にタイに進出し、現在は2カ所の工場で日本やアジア、欧米向けにファッション用、医療用のかつらを製造。昨年11月には、バンコクの大型複合施設に販売店舗もオープンした。タイでのかつらの寄贈はすでに2千個を超えている。
この日、国立がんセンターでは50個を贈り、理美容のカットコンクールで数々の受賞歴がある同社の千藤伸一・商品企画開発部長らが、女性患者らが着用したかつらをそれぞれに似合うようにカットした。
乳がんを患ったティティナンさん(57)は「タイは暑いからショートが楽でいい」と、短い髪のかつらを選んだ。着けてもらい、鏡をのぞくと、思わず笑顔があふれた。「髪が戻ってきて、外に出る自信ができました」
乳がんの別の女性(55)はかつらを着けた姿をすぐにスマートフォンで写真に撮り、友達に送った。「やはり髪がないと、人と接するのが難しい。とても感謝しています」と話した。(バンコク=貝瀬秋彦)
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