イラク南部の油田地帯バスラで19日、米石油大手エクソンモービルなどの施設にロケット弾が撃ち込まれた。イラク当局によると、イラク人職員ら3人が負傷したという。攻撃の主体はわかっていない。
米国は5月中旬、イラクでイランやその傘下の武装組織が米国関係者を攻撃する情報があるとして、一部の大使館職員らに出国を指示。ロイター通信などによると、エクソンの職員も避難していたが、今月に入ってバスラに戻ってきていたという。事件を受けてエクソンの外国人職員約20人はすぐに出国する予定だとしている。一方、石油施設の稼働に影響はないという。
首都バグダッドでは先月19日、米大使館近くにロケット弾が着弾。その後、米軍が駐留する基地への攻撃も起きている。(ドバイ=高野裕介 ドバイ=高野裕介)
製油所改良、JICAが契約
国際協力機構(JICA)は16日、イラク南部の油田地帯バスラにある同国最大の製油所改良のための円借款契約を結んだ。イラクは過激派組織「イスラム国」(IS)からの復興の途上で、JICAは復興の一端を担うことを目指している。
総事業費は30億ドル(約3260億円)超を見込み、今回はそのうち1100億円を貸し付ける契約。受注は日本企業が行う予定だという。JICAによると、イラクは石油輸出国機構(OPEC)で2番目に産油量が多いが、長年の戦争や混乱で製油所が稼働できなかったり、生産能力が低下したりしていたため、多くのエネルギーを輸入に頼っている。2024年春の稼働を予定し、より効率的に製油できるようになるという。
一時は国土の3分の1がISに支配されたイラクは、2017年12月にISとの戦闘終結を宣言。ただ、その後もISによるとみられるテロが続き、復興は思うように進んでいない。昨夏には電力不足などに端を発したデモがバスラなどで起こり、一時混乱した。(ドバイ=高野裕介 ドバイ=高野裕介)
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