山形県沖を震源とする地震で、新潟県内を走る列車も強い揺れに襲われた。津波注意報が出る中、海沿いのJR羽越線では乗務員が乗客を高台まで誘導。「混乱せずに済んだ」と乗客は胸をなで下ろした。こうした対応の背景には、東日本大震災の教訓があった。
JR羽越線の特急「いなほ13号」(7両編成)は18日夜、震度6強を観測した新潟県村上市内で、緊急停止した。
「津波の危険性があるため高台に移動します」。大学4年の小池淳皓(あつひろ)さん(21)=山形県鶴岡市=は非常灯がともる薄暗い車内で乗務員の言葉に耳を傾けた。新潟市内で就職活動をした帰りだった。
走行中は揺れを感じなかったが、電車が速度を落とし始めると、車体がガタガタ揺れた。津波の危険性を伝える防災行政無線のアナウンスが車内まで聞こえてきた。乗務員が乗客の安全を確認したり高台を探したりする準備を終え、緊急停止から40分後、小池さんたちは懐中電灯を手にした乗務員に連れられ、線路に降り立った。「スマホで足元を照らしながら歩いて下さい」と言われ、線路づたいに数百メートル歩くと周囲より小高い踏切にたどり着いた。
真っ暗だったが、潮の香りがし…