米国の学校で銃による事件が後を絶たない。今年はこれまでに35件発生し、7人が死亡した。人口よりも多い銃を抱える社会で生徒や親たちが、もがき続けている。(ニューヨーク=藤原学思)
「ヒーロー(英雄)」
米国の学校で4~5月に相次いだ銃事件で、犯人に立ち向かったノースカロライナ州の21歳の大学生やコロラド州の18歳の高校生をメディアはそう呼んだ。2人とも亡くなった。
フレッド・グッテンバーグさん(53)は5月にニューヨークであった銃規制の討論会で、そんな世論を批判した。「誰一人、命を差し出していいわけがない。ヒーローに興奮して、銃による事件を当たり前のように扱って。普通じゃない」
フロリダ州パークランドの高校で昨年2月、当時19歳の元生徒の男が乱射した半自動ライフル銃で、生徒ら17人が殺害された。その中にグッテンバーグさんの長女、ジェイミーさん(当時14)がいた。
なぜ銃による事件が多発するのか。討論会で司会者が問うと、会場から声が上がる。怒り、政治情勢、精神疾患、社会的孤立。グッテンバーグさんは答えた。
「銃を手に入れることが簡単だ…