6月9日投開票の堺市長選で、落選した元堺市議の野村友昭氏(45)への投票を呼びかける文書を告示前に配ったとして、大阪府警は24日、陣営の出納責任者だった山根健・元堺市議(37)、米谷文克・元堺市議(71)の2人を公職選挙法違反(事前運動、法定外文書頒布)の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、2人の送検容疑は5月26日の告示前の同23日ごろ、野村氏への投票を呼びかける法定外の文書を、野村氏の出身高校の同窓生宛てに郵送したというもの。山根元市議は朝日新聞の取材に「関与は否定しない」、米谷元市議は「文書は送ったが中身は見ておらず違法とは知らなかった」と話した。
文書には「同窓の御縁が頼りです」「支援の輪を広げていただけないでしょうか」などとあった。末尾に野村氏の直筆のように見える署名があったが、野村氏は朝日新聞の取材に「自分が別の場所に書いた署名が流用された。文書は知らなかった」と説明した。府警は野村氏の関与はなく、2人が署名を流用したと判断した。陣営関係者によると、文書は約1万通郵送されたという。
書類送検を受けて、野村氏は「世間をお騒がせし、心からおわび申し上げる。今後は厳格な管理運営を徹底し、再発防止に取り組む」とのコメントを出した。(藤波優、国方萌乃)