鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42)の遺体が見つかった「大崎事件」で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は殺人罪などで懲役10年の判決が確定して服役した義姉の原口アヤ子さん(92)の再審請求を認めない決定をした。一、二審は再審開始を認めていたが、最高裁は「弁護側が新証拠として提出した鑑定の評価を誤った」として取り消した。一、二審で認められた再審開始の決定を最高裁が取り消したのは、初めてとみられる。
原口さんの再審請求は3度目で、今回の請求では裁判はやり直されないことが確定した。第一小法廷は併せて、共犯として有罪が確定した原口さんの元夫(故人)の遺族が求めた再審請求も棄却した。決定はいずれも25日付で、裁判官5人の一致した意見。
この事件では、79年10月に男性の遺体が自宅横の牛小屋の肥料の中から見つかり、原口さんら親族4人が逮捕された。男性の兄だった原口さんの元夫ら3人が犯行を認めた一方、原口さんは一貫して無罪を主張。81年に有罪が確定した後も、再審を求めてきた。
今回の再審請求審では、弁護側が提出した二つの鑑定結果の評価が争点だった。一つは「原口さんが男性殺害を持ちかけるのを見た」と証言した別の親族に対する心理学者の鑑定(①)で、「体験に基づかない情報が含まれている可能性が高い」という内容。もう一つは遺体に関する法医学者の鑑定(②)で、「タオルによる絞殺」という確定判決の認定に対し、窒息死に伴ううっ血などの症状がないとし、「溝に落ちた事故による出血性ショック死の可能性」を指摘した。
一審・鹿児島地裁は17年、①…