トランプ米大統領と安倍晋三首相は28日午前、訪問先の大阪市内で会談し、両国間の貿易交渉について、早期の成果達成に向けて交渉を加速させることを確認した。ただし、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は、2020年米大統領選を強く意識。貿易問題で有利なディール(取引)を引き出すため、同盟国相手でも安全保障問題を絡めて圧力をかけることに躊躇(ちゅうちょ)する気配は見られない。
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「我々は貿易問題、軍事、日本による武器購入について議論する」。トランプ氏は安倍首相との会談冒頭、こう強調した。
トランプ氏は訪日前から安全保障と貿易問題をからめて圧力をかける姿勢を強めていた。米国出発前の26日、トランプ氏は米テレビ局のインタビューで「我々が攻撃されても日本は我々を助ける必要はない」「ドイツは支払うべき(国防費の)金額を支払っていない」などと日独への不満を強調。インドに対しても関税を「受け入れられない」とツイートした。
日独印いずれも、トランプ氏が28日に首脳会談をした相手国だ。会談終了後、米ホワイトハウスの発表文には貿易問題を協議した、と記されていた。
トランプ氏が貿易紛争を繰り広げる中国だけでなく、同盟国や友好国にも露骨に圧力をかける背景には、最優先課題である20年大統領選での再選が盤石とは言えない事情がある。
「1日目の討論会はあまり面白くなかった。候補が間違いなく多い」
28日の米独首脳会談の冒頭、トランプ氏がドイツと関係のない話を突然始めた。同じ時間帯に行われていた、米大統領選に向けた野党・民主党候補のテレビ討論会の感想だ。「民主党(の候補たち)は最高額の医療保険が不法移民の100%に支払われることに賛成した。不幸にも米国市民に何を与えるかは議論しなかった。良くない」などと批判する間、メルケル首相の表情はこわばっていた。
トランプ氏は26日のG20へ…