望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の男性に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、伊藤さんと男性の本人尋問が8日、東京地裁であった。伊藤さんは改めて被害を訴え、男性は合意があったと反論した。
男性は「売名を図った悪質な虚妄だ」として1億3千万円の損害賠償を求めて伊藤さんを反訴しており、合わせて審理されている。
男性側は伊藤さんの提訴について「TBSへの就職相談に乗ってもらっていた男性が、会社を辞めたことへの逆恨みだ」と主張している。これに対し、尋問で伊藤さんは「警察に相談に行った後、辞めると連絡があった」と強調した。性行為があった2日後に男性へ送ったメールで被害を訴えていなかった点については、「混乱し、何もなかったように過ごすことが身のためと思った」と述べた。
一方、伊藤さん側は、性暴力に悪用される睡眠薬を男性が使った可能性を指摘している。男性は8日の尋問で「根拠なく言うのは許せない」と批判した。「安倍晋三首相との個人的な関係から逮捕状の執行が見送られたのではないか」という見方については「仮に逮捕状が出ていれば、自分は被疑者なので知る手段がない。もみ消しはできない」と語った。(新屋絵理)