漢が衰退した2~3世紀、中国で魏・蜀・呉の3カ国が覇権を争った三国志の時代。この時代を考古資料から振り返る特別展「三国志」(朝日新聞社など主催)が9日、東京・上野の東京国立博物館で開幕する。開会式と内覧会が8日あり、三国志の英雄・曹操の墓から出土した石牌(せきはい)など、よりすぐりの遺物約160件が公開された。
映画やマンガなどで私たちのよく知る「三国志」は、中国の明代に書かれた小説「三国志演義」が元になっており、史実とは異なる。展覧会では近年、新発見が相次ぐ、中国の漢~西晋代の遺跡の発掘成果をもとに「リアル三国志」の世界の再現を試みている。
本展では、個人使用の場合に限って展示会場の撮影は自由。内覧会では、中国河南省で整備が進む「曹操高陵」の墓室を実物大で再現した部屋や、「赤壁の戦い」などの水上戦をイメージした矢が宙を飛ぶ部屋などで、観覧者は出土遺物を熱心に撮影していた。9月16日まで。その後、九州国立博物館(10月1日~2020年1月5日)へ巡回。(編集委員・宮代栄一)