米ツイッターは9日、ヘイトスピーチ対策強化の一環で、「特定の宗教グループ」を非人間的に扱うツイートは、今後削除していく方針を明らかにした。これまでは「特定の個人」の人間性を否定する内容を規約違反としてきたが、今回初めて「集団」に対象を広げる。まずは「宗教グループ」を対象とし、今後、「性別」や「人種」、「国籍」など他のグループにも広げていく考えだ。
ツイッター社は9日、ヘイトスピーチについてのルールを改定。「特定の宗教グループ」の人間性を否定する内容が投稿された場合には、投稿者に削除を求める。投稿者が削除に応じない場合は、アカウントの凍結などの対策をとる。「キリスト教徒」「ユダヤ教徒」「イスラム教徒」といった宗教グループの人間性を否定するツイートが、削除対象になるという。
削除対象の具体例として、「(特定の宗教団体)は、この国を蝕(むしば)む癌(がん)だね」、「害虫駆除をしないと。(特定の宗教団体)は虫けら以下」といったツイートを示している。
利用者からの通報や、ツイッター社の人工知能(AI)を使った検知システムを通じて、こうしたツイートを見つけ、投稿者に対応を求めていくという。
同社は昨年9月に、ヘイトスピーチの禁止対象を「集団」に広げていく大まかな方向性を示し、利用者から意見を募った。約8千の意見が寄せられたといい、これらを踏まえて、「集団」への中傷を禁じる最初の対象を「宗教グループ」としたという。広報担当者は朝日新聞の取材に対し、今後時間をかけて、対象とする集団を、「性別」「性的な指向」「人種」などに広げていきたいと説明した。(サンフランシスコ=尾形聡彦)