(15日、高校野球長崎大会 諫早8―6長崎鶴洋)
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九回裏1死一、二塁、長崎鶴洋の古場海心(かいしん)選手(3年)は高校最後の打席を捕飛で終えた。「打ち上げた。恥ずかしい」。このときはまだ、あと2回も「出塁」することになるとは思ってもいなかった。
直後、中前安打で出塁した浜口速人選手(3年)が一塁ベースを越えたところで倒れ込んだ。足をつっていた。治療が長引きそうなときは、投手以外の出塁していない直前の打者を、塁に送る決まりだ。
「臨時代走、古場くん」。場内アナウンスが流れた。一度はベンチに引き揚げた古場選手がヘルメットを被り直し一塁へ。次打者の福田裕希選手(3年)が、初球をすくった。フェンス直撃。古場選手は「高校最後の生還」を果たした。
今度こそベンチに戻ろうとすると、審判から声をかけられた。「古場くん、臨時代走」。振り返ると、福田選手が二塁で仰向けに倒れていた。「え、また?」。アナウンスが流れる。「臨時代走、古場くん」
ついさっき駆け抜けてきたばかりの二塁に戻った。「もう一回、生還できたら」。しかし次打者は空振りに倒れ、今度こそ最後になった。
「走塁は嫌なんですよ。疲れるから」。50メートル走6・5秒の快足を持ちながら、そうおどける古場選手。主力5人をハワイ沖でのマグロはえ縄漁実習で欠くなか、中盤までシーソーゲームを演じ、最終回には3得点したチームを最後まで盛り上げた。「今までで、一番いい試合でした」(横山輝)