高嶋仁・智弁和歌山前監督
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(15日、高校野球和歌山大会 箕島4―3南部龍神)
ぼくが智弁学園から智弁和歌山に来たのは、箕島が春夏連覇した翌年でした。奈良では天理、和歌山では箕島に勝たないと甲子園には行けなかった。いまだにあの両校だけはユニホームを見ると「クソーッ」と燃えてきます。
当時の箕島は守りをしっかりつくって、派手さは無いけど、確実に勝っていくチームでした。直接対決で10年ぐらい勝てなくて。強さを肌で感じたいと、思い切って尾藤公監督(当時)に練習試合を申し込んだら、快く受けてくれた。あの人の懐の深さですよねえ。以来毎年5月5日に定期戦をやるようになり、一緒に取る昼食もうな丼と決まってました。
尾藤さんは甲子園では「尾藤スマイル」でしたが、練習試合ではすごく厳しかった。やっぱり全国優勝するチームは日本一の練習をしてるもんですよ。智弁和歌山は強打のイメージが強いですけど、ぼくは常に尾藤さんの箕島を手本に守りのチームをつくってきたつもりです。
今年の初戦は接戦になりましたが、きちっと守る伝統は生きてましたね。風向きが始終変わり、外野守備は難しかったでしょうが、左翼の山田一斗主将はこまめに守備位置を変えて対応していました。九回は代わったばかりの相手投手に余裕がないと見抜いて初球に岩鼻忠憲君が二盗。次の球を山内詩音君が、やはり交代で入った野手の前にバントして悪送球を誘い、サヨナラです。この抜け目の無さが箕島なんですよ。