12日に開幕する第101回全国高校野球選手権和歌山大会(和歌山県高野連、朝日新聞社主催)を前に、大会の見どころや選手への思いを県高野連のみなさんに聞きました。
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――昨年100回を迎えました
愛須 率直に100回続くことはすごいことだと思う。支えてくれた人がたくさんいるということ。
伊藤 特別な記念大会に携われたことはうれしく、思い出に残る大会だった。大きなけがもなく、スムーズに終われて良かった。
左海 次の100年について考えないといけないという意識にさせられた大事な年だった。
横山 現役時代を含めて、49年高校野球に携わっているが、100回は想像を絶する回数。
林 子どもは何回の大会でも一生懸命やっている。裏で支える人たちは歴史を先輩から受け継いできて、後輩たちにつなげる役割があると感じた。
――大会の展望を伺います。Aゾーンの見どころは
愛須 開幕戦は新宮―和歌山工の古豪対決。
伊藤 海南が中心かな。春の戦いぶりをみると、力のあるまとまったチーム。ただ、9校中5校(有田中央、箕島、海南、新宮、和歌山工)が春夏を問わなければ甲子園に出場経験がある。
左海 南部龍神の投手小川泰二郎君は春季大会は(ベンチには入っていたが)出ていなかった。復活していれば、南部龍神と箕島の戦いも面白い。
林 箕島の投手岩鼻忠憲君も良くなっている。
伊藤 海南の森正義君、熊野の桃原大知君、和歌山工の水軒波人君も安定。
――Bゾーンは
伊藤 シードの桐蔭、坂口健心君は崩れない。淡々と投げる。
横山 桐蔭は夏に仕上げてきて、強い。
左海 和歌山高専の橋中里来君は打撃がいい。
林 県和歌山も、ぶんぶん勢いよく振る打撃がいい。
左海 那賀の谷脇弘起君は直球とスライダーがいい、なかなかの好投手。
伊藤 桐蔭と初戦の串本古座は春季大会で選抜帰りの市和歌山に一時逆転した力のあるチーム。
――Cゾーンは
伊藤 智弁和歌山と和歌山南陵は両監督とも元プロの対決で注目。
左海 春季大会でも初戦に対戦して3―0で智弁和歌山が勝った。
伊藤 智弁和歌山は投手が小林樹斗君と池田陽佑君の継投で、細川凌平君、西川晋太郎君、黒川史陽君、東妻純平君、根来塁君、硲祐二郎君のベストメンバーだった。
伊藤 神島の左向政輝君は計算できる投手。蓑田訓哉君は長打力がある。日高の楠山顕也君も馬力がある。
左海 橋本が今年も投手三段構えなら、球数が制限されるこれからの理想になるかも分からない。
伊藤 紀北工の水落望君は去年1年生ながら頑張って投げた。力を発揮すれば、面白い戦いになるかもしれない。
――Dゾーンは
伊藤 甲子園出場経験校が、南部、和歌山商、初芝橋本、市和歌山、日高中津、向陽、星林の7校。南部は(昨秋の)新人戦の優勝校。向陽は去年の和歌山大会ベスト4。
横山 星林の2年生西本信君が面白い。打たせて取るタイプ。
林 和歌山商も3年生の榎本海聖君がいい。速球が特徴の和歌山東の落合秀市君がどれだけ最高のピッチングをするのか楽しみ。
左海 和歌山商は春季大会で海南と7―8の勝負をした。力はある。市和歌山と日高中津は春季大会も戦っていて、お互い手の内を知っている。Dゾーンは一段レベルが高い激戦。市和歌山も簡単には勝てない。
――優勝のゆくえは
伊藤 智弁和歌山と市和歌山は投手力が充実している。短期決戦の夏は投手が豊富だといい。
左海 南部と神島も豊富。
林 毎試合ベストで投げられる投手はいない。そこを補う投手がいないと。
愛須 夏は総合力。投手力、攻撃力、守備力が必要。春は試合日の間隔が空くから、投手が1人でも大丈夫だが。
――選手への注意点は
横山 フェアプレーを心掛けてほしい。バッターランナーが走るときに送球を邪魔する行為、投球に対して体に近いところにひじやひざを出して、デッドボールをもらいにいく行為など。
林 高校生らしくはつらつとした自分の力を出せることをやってほしい。
――200回へ向けた課題や期待は
愛須 200回まで遠い。5年で社会が変わるような時代。高校野球200年構想は5、6年先に結果が出る。我々の考え方も変えていかないと。
伊藤 子どもの数が減って、球数制限とか、いままでと違う野球を考えないといけないというのは、変革するチャンスでもある。新しい野球を模索しないといけない。
左海 球場にいると、高校野球のファンは増えているように思う。少子化の問題で1校1チームが出来なくなり、今後、合同チームになることもあるかも知れない。母校を応援することが高校野球の魅力の一つでもある。魅力を残すにはどうしていくべきか考えていきたい。
横山 200回に向けて、ゼロから考え直した方がいい。伝統が脈々と生きていると思うが、大人が意識を変えることをしないといけないと思う。
林 野球の魅力を幼児、小学生に伝えていかないと。
――選手へのメッセージを
愛須 紀三井寺で楽しくやってほしい。
左海 3年生は高校野球最後の夏。悔いが残らないように。と言いながら、やっぱり悔いは残ると思う。それでも10年後にあれで良かったと思えるように、レギュラーはレギュラーらしく、サポートの子はサポートらしく、スタンドで応援する子も3年間やってきた証しを見つけてほしい。
横山 熱中症やけがで試合を全うできないケースは不幸。十分に給水して、熱中症で試合の途中でダメにならないようにプレーしてほしい。
林 ベストな体調で臨んで、自分の持てる力を限りなく発揮できるように頑張ってほしい。
伊藤 沖縄の女子高校生が考えたキャッチフレーズ「新たに刻む、ぼくらの軌跡。」。これは素晴らしいと思った。この「ぼくら」の意味を考えてほしい。自分だけの大会じゃないし、仲間もいるし、その時の仲間だけじゃなくて、100年続けてきた先輩たち、そして100年続けようとしているから後輩たち。そういう意識でいま、その目の前の一戦に力を注いでほしい。(構成・西岡矩毅)
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<出席者のみなさん>
愛須貴志さん=県高野連会長
伊藤誠悟さん=県高野連理事長
左海直之さん=県高野連副理事長
横山弘則さん=県高野連審判部長
林禎則さん=県高野連副審判部長
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<代表校一覧>
1回(1915年)和歌山中
2回 (16年)和歌山中
3回 (17年)和歌山中
4回 (18年)和歌山中
5回 (19年)和歌山中
6回 (20年)和歌山中
7回 (21年)和歌山中
8回 (22年)和歌山中
9回 (23年)和歌山中
10回 (24年)和歌山中
11回 (25年)和歌山中
12回 (26年)和歌山中
13回 (27年)和歌山中
14回 (28年)和歌山中
15回 (29年)海草中
16回 (30年)和歌山中
17回 (31年)和歌山商
18回 (32年)和歌山中
19回 (33年)海南中
20回 (34年)海南中
21回 (35年)海草中
22回 (36年)和歌山商
23回 (37年)海草中
24回 (38年)海草中
25回 (39年)海草中
26回 (40年)海草中
27回 (41年)
※戦争のため中止
28回 (46年)和歌山中
29回 (47年)海草中
30回 (48年)桐蔭
31回 (49年)海南
32回 (50年)新宮
33回 (51年)県和歌山商
34回 (52年)新宮
35回 (53年)向陽
36回 (54年)新宮
37回 (55年)新宮
38回 (56年)新宮
39回 (57年)県和歌山商
40回 (58年)海南
41回 (59年)南部
42回 (60年)新宮
43回 (61年)桐蔭
44回 (62年)新宮
45回 (63年)南部
46回 (64年)海南
47回 (65年)県和歌山商
48回 (66年)向陽
49回 (67年)市和歌山商
50回 (68年)星林
51回 (69年)箕島
52回 (70年)箕島
53回 (71年)市和歌山商
54回 (72年)桐蔭
55回 (73年)箕島
56回 (74年)向陽
57回 (75年)伊都
58回 (76年)箕島
59回 (77年)田辺
60回 (78年)箕島
61回 (79年)箕島
62回 (80年)箕島
63回 (81年)和歌山工
64回 (82年)南部
65回 (83年)箕島
66回 (84年)箕島
67回 (85年)和歌山工
68回 (86年)桐蔭
69回 (87年)智弁和歌山
70回 (88年)高野山
71回 (89年)智弁和歌山
72回 (90年)星林
73回 (91年)智弁和歌山
74回 (92年)智弁和歌山
75回 (93年)智弁和歌山
76回 (94年)市和歌山商
77回 (95年)田辺
78回 (96年)智弁和歌山
79回 (97年)智弁和歌山
80回 (98年)智弁和歌山
81回 (99年)智弁和歌山
82回(2000年)智弁和歌山
83回 (01年)初芝橋本
84回 (02年)智弁和歌山
85回 (03年)智弁和歌山
86回 (04年)市和歌山商
87回 (05年)智弁和歌山
88回 (06年)智弁和歌山
89回 (07年)智弁和歌山
90回 (08年)智弁和歌山
91回 (09年)智弁和歌山
92回 (10年)智弁和歌山
93回 (11年)智弁和歌山
94回 (12年)智弁和歌山
95回 (13年)箕島
96回 (14年)市和歌山
97回 (15年)智弁和歌山
98回 (16年)市和歌山
99回 (17年)智弁和歌山
100回 (18年)智弁和歌山