天津大学が31日に明らかにしたところによると、同大学の張雷氏と楊静氏のチームはこのほど、「全天候型自己回復材料」の研究開発に成功した。同材料の性能は国際的な先進水準で、極寒、深海、強酸・強アルカリなどの過酷な条件下でスムーズに自己回復できる。ロボット、深海探査機、過酷な条件下の各種ハイテク設備の「スーパー電子皮膚」になる見通しだ。中国新聞網が伝えた。
自己回復材料は先進的な超分子技術で合成される。同材料はその名の通り、外からのエネルギーに頼らず、人の皮膚組織のように自己修復を行うことで、材料の耐用期間と安全性を大幅に向上させる。そのため電子皮膚、海洋塗料、バイオ医薬などの分野で高い応用の将来性を持つ。
既存の自己回復材料は長期的に、極寒の極地、深海の水中、強酸・強アルカリなどの条件下でパフォーマンスが悪かった。極端な環境における迅速な自己修復は、自己回復材料の克服し難い技術的ボトルネックとなった。
張氏と楊氏のチームは性質の異なる親水基と疎水基を利用し、さまざまな極端な条件下で迅速に自己回復する弾性体材料の合成に成功した。チームは各動的キーの協同相互作用を十分に利用した。これにより材料は外からのエネルギーをまったく利用しなくても、高弾性・高伸縮性及び迅速な損傷修復の機能を同時に実現した。
実験結果によると、この新型自己回復材料は室温であれば10分内に迅速に回復でき、回復後は自身の500倍以上の重さの物を支えられる。氷点下40度の低温、冷えた高濃度塩水、さらには強酸・強アルカリ環境においても高い自己回復性能を示しており、卓越した「全天候型」自己回復材料とも呼ぶべきだ。
張氏は「この新型自己回復材料は海洋プロジェクト、極地、高空、工業廃水処理など極端な環境における作業に対して重要な意義を持つ。我々は今後、材料を電子皮膚センサーに応用し、ロボットが極端な環境においても体表の圧力、水流、温度などを感知できるようにし、先進的な電子デバイスに向け真のスマート皮膚を作る」と説明した。
関連成果はすでに、国際的に権威ある学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年6月2日