密度は鉄鋼の6分の1のみで軽いが、強度や靭性で従来のセラミックや合金を上回る。摂氏マイナス120度から摂氏プラス150度の極端な温度に耐え、そしてエネルギーを吸収し衝撃に強い。これは中国科学技術大学の兪書宏院士のチームが開発した、総合性能が高い「スーパー材料」だ。自動車、航空・宇宙などの分野で応用の高い将来性を持ち、そしてエンジニアリングプラスチックの代替品になり汚染を減らす見通しだ。新華社が伝えた。
セルロースは世界で資源量が最も豊富な天然バイオマス材料で、木、稲、小麦、綿花などに大量に存在している。余り知られていないが、セルロースはミクロレベルで高い性能を持つ。直径が髪の毛の1万分の1にも満たないナノセルロースの強度は鉄鋼を上回る。だがセルロースが作るマクロ材料は「弱弱しく」なる。そのためマクロレベルでセルロースの高い性能を再現することが、国際的な材料科学研究の重大な挑戦になっている。
兪氏のチームは革新的な技術を応用し、世界で初めてナノセルロースを一種の新材料に加工した。検証によると、その密度は鉄鋼の6分の1、航空アルミ合金の半分のみではるかに軽いが、より強靭だ。
同新材料のサイズは安定性が極めて高く、熱膨張係数はセラミックに近い。摂氏マイナス120度から摂氏プラス150度の範囲内で温度を100度変えた場合、そのサイズの変化は1万分の5にも満たない。さらに衝撃に強く、時速100キロの衝撃を受けても大きなエネルギーを瞬時にして吸収し、解消する。刺す衝撃を受けた場合も局部の損傷にとどまり、変形や亀裂が生じない。セラミック、プラスチック、アルミ合金より明らかに優れている。
研究者は、新材料の高い性能はその独特な複合構造によることを発見した。ナノスケールで1種の3次元ネットワーク構造を見せ、より大きなミクロンレベルで「折り重なり」構造となる。
国際的に権威ある学術誌「Science Advances」がこのほど、この成果を発表した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年5月26日