グローバルサプライチェーンは30年近い発展期を経て、今年は厳しい挑戦に直面している。新型コロナウイルス感染症が発生して、多くの国が「都市封鎖(ロックダウン)」措置を実施して感染症に対抗したことでサプライチェーンは大きな打撃を受け、チェーン断裂のリスクすらある。ポスト感染症時代を見据え、グローバルサプライチェーンの調整はより多様化した様相を呈する可能性がある。「経済参考報」が伝えた。 サプライチェーン配置の調整は、企業にとっては、主として企業のサプライチェーンに対する「強靱性」が試されることだ。感染症によるチェーン断裂のリスクが多国籍企業に市場の原則を追求させ、資源配置の最適化を図らせると同時に、サプライチェーンの強靱性に対する注目を高めることにもなる。コストを引き上げ、単一の供給源だけに頼ることなく、リスクを分散し、サプライチェーンの多様化を実現して、収益とサプライチェーンの安全性のバランスを取ることが、一部の企業の選択肢となった。 政府レベルから見ると、西側の一部の国がこの機会を利用してサプライチェーンの現地化の要求を打ち出し、時には地政学的な観点から、グローバルサプライチェーンの配置に干渉し、ビジネス原則に基づいて構築されたグローバルサプライチェーンの切断を強行し、サプライチェーンの調整に圧力をもたらしている。 現在の状況から考えて、未来のグローバルサプライチェーンの調整における特徴と情勢は重視されるべきだ。しっかり見なければならないのは、グローバルサプライチェーンの断片化が進み、サプライチェーンの地域化が少しずつこの時期の主流になっていることだ。多国間貿易システムが圧力に耐えながら前進し、経済グローバル化が逆行の流れにぶつかる今、二国間や多国間の貿易協定が流行し、グローバルサプライチェーンの局面にとって打撃になっている。たとえば米国・メキシコ・カナダ協定における原産地原則は、加盟国以外の自動車部品サプライヤーを北米地域のドアの外に効果的に締め出す。二国間・地域間貿易協定が盛んになった結果として、地域の供給システムが徐々にグローバルサプライチェーンに取って代わり、グローバルサプライチェーンがばらばらになって断片化した。これと同時に、地域の製造能力が大幅に向上した。 今後しばらく、中国は中国国内の大きな循環を主体とし、国内と海外がともに循環し相互に促進し合う新たな発展局面を徐々に形成していく。巨大な市場と整ったサプライチェーンなどの要因を擁することから、中国のグローバルサプライチェーンにおける地位と役割は他の国には代わることのできないものだが、一部の調整が行われる可能性はある。たとえば中国の衣類や靴類、帽子類などの労働集約型産業での優位性がさらに低下するのにともない、こうした産業のサプライチェーンは調整されるとみられる。しかしより重要なことは、サプライチェーンのよりハイレベルへの発展が期待されることだ。一方で、伝統的産業では、サプライチェーンの高度化の流れがますますはっきりするようになる。また一方で、中国は新興産業のサプライチェーンにおいて新たな優位性を打ち出すことに力を入れるようになる。弱点分野の補強を経て、半導体や医薬品などの産業のサプライチェーンが改善されることになる。ロボット、新材料、バイオ医薬品などの新興産業においては、おおよそ独自のシステム、相対的に独立したサプライチェーンを形成し、チェーンの長さがさらに短くなる、などと予想される。 将来を展望すれば、新興産業におけるサプライチェーンの競争はますます激しくなり、白熱化の様相を呈している。新興産業は国際競争力に関わっており、世界の主要国はグローバルな新興産業の発展における主導権を巡って競り合っている。 ここ数日、米国議会は今後5年間で1千億ドル(約10兆9360億円)を投入して、人工知能(AI)、ロボット、高性能コンピューター、自動化などの分野の研究をバックアップすると打ち出した。欧州連合(EU)も負けじと、ハイテク研究開発とハイテク産業への投資を拡大し、新興産業サプライチェーンの構築に力を入れるとした。将来、世界の主要エコノミーが新興産業のサプライチェーンをめぐって競争し、協力するのが基調をなすとみられる。(編集KS) 「人民網日本語版」2020年6月8日 |
グローバルサプライチェーンの調整の方向性は?
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