中国の2大オンラインフードデリバリープラットフォームがこのほど、「ペット市場に力を入れる」というシグナルを相次いで発し、ペット経済の市場がもつポテンシャルにも注目が集まった。まず8月19日に「Eleme」が「2020年ペットデリバリー報告」を発表し、過去1年間にペット関連のデリバリーという新興消費市場が急速に拡大したこと、Elemeのデリバリー受注量は前年比135%増加したこと、ペット関連のデリバリーは客単価が高く125元(1元は約15.3円)に達することを明らかにした。もう一方の美団点評は上海で開催中の第23回アジアペット展に参加した。こうして両プラットフォームのペット関連デリバリー市場における戦いが始まった。1千億元規模のペット消費市場はますます多くの「プレイヤー」を呼び込み、ペット経済とさまざまな業態との融合も新たな商機を生み出しつつある。「北京商報」が伝えた。
デリバリープラットフォームがペット市場で戦う
Elemeの報告によると、1千億元規模のペット経済がペット関連デリバリーという新たな消費トレンドの発展を促しつつある。うちElemeのプラットフォームでは、90後(1990年代生まれ)の利用者がペット関連デリバリー消費の最大の層になっている。
またペット関連デリバリーの受注も飛躍的に増加した。これまでの1年間で、Elemeの受注は前年比135%増加した。受注増加率が大きかっただけでなく、ペット関連デリバリーには客単価が高いという目に見える特徴があり、Elemeの過去1年間の平均単価は125元で、フードデリバリーの客単価を大きく上回った。
Elemeによると、同社はペット用品メーカーのロイヤルカナン、オリジン、ネスレなどのトップブランドとチャネル提携関係を構築した。阿里巴巴(アリババ)の地域生活サービスを提供する阿里現地生活サービス公司小売事業部の熊斌副社長は、「ペットショップとペットブランドメーカーがElemeチャネルで初めて手を結び、ペットオーナーに便利なペット関連サービスを提供することになった。この新たな結びつきはペット関連商品の未来の発展に極めて大きなイマジネーションをもたらした」と述べた。
ペット消費市場が強い上昇の勢い
中国国内のペット業界は急速に発展拡大しつつあり、さらに業界全体が引き続き上昇の勢いをみせる。ネット小売事業をサポートする有賛が提供したデータをみると、2018-19年には、中国でペットを飼っている人が7355万人から9915万人に増加し、このうち犬が54.4%、猫が43.1%を占めた。業界全体に引き続き大きなポテンシャルがあり、未来のペット市場にはなお大きな成長の可能性があるとみられる。
このような巨大なユーザー規模がペット消費市場に強い上昇の勢いを与えている。19年に中国ペット(犬・猫)消費市場の規模は2千億元の大台を突破し、消費規模は全体で2024億元に達して前年比18.5%増加した。このうち消費支出が大きいのはやはりペットフードとペット用品で、浸透率が高いのはペット用おやつと駆虫薬で70%を超えた。サービス類の消費は相対的に頻度が低く、その中で浸透率が最も高いのは動物病院、次はトリミング、その次は預かりサービスだった。
「ウィズペット」広がる
中南財経政法大学デジタル経済研究院の盤和林執行院長は取材に答える中で、「フードデリバリープラットフォームがペット市場に力を入れることについて言えば、フードデリバリープラットフォームの常態化した展開に発展する可能性が高い。ペット市場はすでに構築されている上、当面の消費ニーズの変化にともなって急成長の勢いを見せているからで、この市場は食事の配達業務がボトルネックに近づいたフードデリバリープラットフォームにとってかなり期待できる努力の方向性だといえる。またペット消費はチェーンが長く、その中でもフードデリバリープラットフォームには大きな発展の可能性が存在する」と述べた。
ペット業界は今、さまざまな業態と融合するのがトレンドだ。たとえば外食業界の場合、ペットレストランはますますよく見かけるものになり、多くの外食チェーンブランドもペット専門店を開設する方法でより注目を集め、ブランドへの好感度を高めようとし始めた。スターバックスは典型的なケースで、ペット連れで入れる店をオープンし、ペット用のメニューも用意して、多くのペットオーナーの注目を集めた。このほか、ペットランド、ペットスクール、ペットと泊まれる民泊施設、ペットホテルなどペット関連のさまざまな新ビジネスモデルが立ち上がりつつある。
盤氏は、「プラットフォームでもその他の業態でも、ペット市場に力を入れることは、目下のペット消費の問題点に焦点を当て、消費者がペット消費の過程でぶつかる問題を解決するようサポートするとともに、ペット消費のプロセスにおける消費者の体験を持続的に最適化することが必要で、そうしてはじめてコア競争力の優位性を獲得し、ペット業界全体の健全で持続可能な発展を支援できるようになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年8月20日