日本紙「日本経済新聞」がこのほど、日系企業が中国からの撤退待ちの列に並んでいると伝えたことが注目を集めている。7月末現在、工場を日本に戻す申請を行った第2弾の在中国日系企業は1670社に上り、補助金の申請額は1兆7600億円に達し、日本政府が組んだ予算の8倍になった。一部のメディアはこれに乗じて日系企業が大挙して中国から撤退しつつあると騒ぎ立てるが、それは事実と大きく異なる。「環球時報」が伝えた。(文:張玉来・南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、日本政府は今年4月、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」政策を打ち出し、日本国内の健康・ヘルスケア産業のサプライチェーンの安全を確保しようとした。補助金の規模は2200億円で、総額57兆6千億元に上るコロナ対策の補正予算案に占める割合は4‰にも満たない。日本は過去の危機対応においても同様の政策を打ち出しており、たとえば2011年の東日本大震災の時には、サプライチェーン強化のために総額2千億円の国内立地補助金を交付した。
今回の撤退をめぐって補助金を申請した第1弾・第2弾の企業1700社余りは、在中国日系企業約3万5千社の5%にも満たない。普通の状況であれば、企業の5-10%が経営環境や企業自身の状況のために、経営戦略を調整したりさらには中国市場から撤退したりするのは、ごく当たり前のことだ。第2弾の補助金獲得企業のリストはまだ公表されていないが、第1弾の87社をみると、製造業の労働集約型産業の企業が中心になるとみられる。
実際のところ、最近の日本の対中投資は減少するどころか、かえって増加している。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査では、19年の日本の対中投資は143億7千万ドル(1ドルは約104.8円)に達し、前年比約24億ドル増加し、増加幅は約24%だった。コロナの深刻な打撃を受けながら、20年上半期の対中投資は64億5千万ドルに達した。例えば資生堂を例にすると、年初に上海に研究開発センターを新設したと発表しただけでなく、大規模な投資を行って中国でデジタル化へのモデル転換を推進する方針も明らかにした。