河南省洛陽市の龍門石窟の奉先寺北壁でこのほど、フルサイズ3Dプリントされた仏像の頭部が順調に、頭の欠けた等身仏に据え付けられた。仏像の頭部は断面にぴったり合い、仏像の正確な復元が実現された。新華社が伝えた。
龍門石窟は河南省洛陽市にあり、2000年にユネスコから世界文化遺産に指定された。20世紀初頭、龍門石窟は大規模な破壊と窃盗にあい、石窟の多くの仏像が流出した。
今回修復された奉先寺の等身仏は、唐代の開元年間に高力士ら宦官が、唐玄宗の誕生日を祝うため作ったものだ。龍門石窟研究院の元所長である温玉成氏は、仏像の頭部は1923年以降に盗まれたと推測している。なぜならば、日本人の写真家が1923年に撮影した奉先寺北壁の写真を見ると、この等身仏の頭部がまだ残っていたからだ。
龍門石窟研究院の史家珍院長は、「デジタル化技術は、文化財の修復・再構築、もしくは出処の鑑定をするうえで、より正確でより直接的な参考材料を提供することができる」と述べた。その例としては、上海博物館に収蔵されている5点の文化財が挙げられる。これらは龍門石窟のものだが、具体的にどの位置にあったかは不明だという。
龍門石窟研究院は昨年5月、上海博物館の李伯華研究員と共同で、この5点の仏像の復元研究を行った。詳細な観察により、研究者は仏像の頭部の後ろに入っている横向きの切断面が「V字」に似ていることを発見した。彼らはこの特徴に基づき奉先寺のすべての等身仏を調べ、北壁のアーチ型の大型龕(仏像を納める厨子)の3体の等身仏がそれと一致することを突き止めた。研究者はその後さらに3Dデータにより接合をシミュレートした後、中間の立像であると確定した。
龍門石窟研究院の楊超傑研究員は、「高精度3Dスキャンとプリントの後、我々はプリントされた頭部の肌に処理を施し、文化財本体の色彩に基づき精密に復元させた。これを据え付けたところ、頭部と仏像の断面がぴったり合った」と述べた。
この頭部のほか、残りの4点の仏像の位置もほぼ特定された。楊氏は、「今回の共同研究は主に、デジタル技術により上海博物館の収蔵品の龍門石窟における正確な位置を特定しようとした。デジタル復元を実現し、龍門石窟の資料の完全性をさらに高めた」と述べた。また、「奉先寺の仏像の頭部のデジタル復元は、その他の流出した文化財を元の場所に戻す作業に新たな可能性をもたらした」とし、史氏はすでに国内外の多くの大学や博物館と協力関係を結び、龍門石窟から流出したより多くの文化財の新たな「帰宅」の道を探り、完全な復元を実現しようとしているという。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年9月30日