低温殺菌牛乳(パスチャライズ牛乳)市場は典型的なブルーオーシャン産業の市場であり、新会社「可牛了」にとってはその背後にある成長のボーナスに狙いを定めること、商品とマーケティングのイノベーションがカギになる。
11月2日、中国と海外の日用消費財大手であるコカ・コーラと蒙牛乳業が共同出資して「可牛了乳製品有限公司」を設立した。業務の内容は低温殺菌牛乳の生産、販売、マーケティングだ。
コーラと牛乳の提携でコーラ味の牛乳が生まれるのか。「可牛了」は業界と消費者の想像力をかき立てている。
データによると、世界の多くの国では低温殺菌牛乳が牛乳市場で大きな市場シェアを占め、たとえばカナダは99%、英国は99.5%、米国は99.7%、日本は99.3%だ。一方、中国は現在まだ14%にとどまる。2019年に中国の乳製品消費市場の規模は4196億3千万元(約6兆5673億9千万円)に達し、10年から19年の複合年間成長率は8.6%だった。こうしたデータからわかるように、低温殺菌牛乳市場は典型的なブルーオーシャン産業の市場であり、コカ・コーラと蒙牛が手を結んでその背後にある成長のボーナスに狙いを定めたことは当然だといえる。
コカ・コーラの中心消費層は若い人で、この層には購買力が高く、新しいものに挑戦することをためらわないといった特徴がみられる。同時に、中国産牛乳は過去にメラミン混入事件が起きて、今はまだブランドを再建している段階だ。コカコーラの世界的なブランド効果に便乗できれば、若い消費層の支持を得る上でよりプラスになる。
もちろん、「可牛了」の素晴らしい未来のカギはこれだけでなく、他にもいくつかある。まず、中国でも海外でも若い消費層というものは、新しいものやトレンドを追い求めると同時に、品質を重視するという特徴がある。そのため、「可牛了」は蒙牛の工業生産システムと乳製品資源の基礎と深く結びつき、高品質の低温殺菌牛乳を作り出すことが求められる。
他方で、グローバル市場における若い消費者の消費習慣の変化やトレンドに対するコカ・コーラの高い研究能力を十分に活用し、「可牛了」が若い消費者の味の好みや興味に合わせ、さまざまな味とパッケージで低温殺菌牛乳を打ち出すようにする必要がある。パッケージの「見た目偏差値」から「クロスオーバー」で試みる新たな味の組み合わせまで、いずれも投資を拡大する必要がある。
ここ数年、市場ではますます多くの食品ブランドが消費者の目を引くため、奇抜な「一風変わった味」のおやつを打ち出してきた。例えばマスタード味のヨーグルト、塩味のタマゴの黄身アイス、唐辛子味のアイスキャンディなどで、こうした味の常識を逆手に取ったような動きにより、多くのブランドは知名度が大幅に上昇し、強烈なイメージを残した。ただ最終的に生き残れるかどうかは、一時的な目新しいパッケージや刺激的な味によっては決まらない。話題性でしかない。消費者が最終的に購入するのは、やはり質の高い信頼できる製品だ。
「可牛了」にはコカ・コーラと蒙牛という2大ブランドの後ろ盾があり、低温殺菌牛乳のオフライン小売市場で一定の優位性を占めている。しかしここ数年、中国国内ではオンライン消費が徐々に主流になり、特に若い人にはネットショッピングの習慣が定着した。そのため、これからはオンラインが新たなブランドのブランド構築、マーケティング、若い消費者に届く主要チャンネルになるとみられる。「可牛了」は今後、各大手ECプラットフォームと協力し、オンラインとオフラインを結びつけられるかもしれない。そうすればこそ、多層的なマーケティングネットワークを構築し、低温殺菌牛乳の製造、流通、販売の全産業チェーンおよびユーザーの閉鎖型サービス体験に基づくイノベーションプラットフォームを構築することが可能になる。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年11月4日