(写真著作権は東方ICが所有のため転載禁止)。
例年であれば、春運(春節<旧正月、今年は2月12日>期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)をめぐって、人に会えば「チケット買えた?」とたずねるのがお約束だったが、今年はこうした情景は見当たらない。帰省をしない、鉄道乗車券がたくさん余っている、航空券が安くなったことなどが、2021年の春運で最も印象深い出来事かもしれない。帰省せず、今いるところで年を越す人々(原年人)は、年越し料理に何を食べるかを考えるだけでなく、春節7連休の余暇の過ごし方も考えて決めておかなければならない。中新経緯が伝えた。
近場旅行とホテル滞在が人気
今いるところで春節の呼びかけの下、多くの「原年人」が他地域への移動や旅行を取りやめた。北京市でメディア広報の仕事をする張琳さんは、「新型コロナウイルス感染症のため、今年はstaycation(ステイケーション)式の年越しをしようと思う。温泉ホテルに数日間泊まれば、あわてて移動する必要がなくなるし、より充実した時間の過ごし方ができる。感染症があるので遠出はしたくない。帰省はしないが、こういう春節の過ごし方は気楽だし、慌ただしくなくていい」と話した。
「staycation」とは、「stay(滞在する)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、「家やホテルで休暇を過ごす」という意味だ。旅行サービスを手がける同程航旅がまとめたデータでは、春節期間の近場の「ホテル+観光地」、温泉ホテル、リゾートホテル、所在地域の年越し料理、などの検索件数が増加したという。
旅行予約サイトの携程のデータでは、上海、三亜、北京、広州、蘇州、杭州、南京、大理、深セン、重慶は、今年の春節期間のホテル予約件数が多かった上位10都市となっている。普段、一線都市や新一線都市に住んでいる消費者は「ホテル滞在」で1年間がんばった自分をねぎらいたいという気持ちが強く、四つ星以上のホテルの予約の割合が66.8%に達した。
レンタカーでのドライブ旅行と現在の居住地のお出かけスポットも人気だ。春節が近づくと、旅行情報サイトの馬蜂窩旅遊網のプラットフォームでは、もともと増加傾向だった「ドライブ旅行」の検索件数がこの1ヶ月でさらに25%増加した。携程のまとめた報告では、ユーザーの最新の検索行動を分析したところ、現在は「今いるところで春節」が人気で検索件数は260%増加した。また現在の居住地のお出かけスポットの検索件数が検索全体に占める割合が40%を超えた。
ただ、こんな人もいる。河北省出身で、普段は北京で働いている李さんは、子どものことを考え、観光地は人が多いので心配なことから、春節には特に出かけるのをやめ、主に市内の公園めぐりをして過ごそうかと考えている。
また現在の居住地で春節を過ごす人の中には、「感染症のおかげで、帰省しない『正当な理由』ができた」と話す人もいる。90後(1990年代生まれ)の蒋方さんは、「帰省すれば親戚に挨拶回りをしたり、同級生と会ったりして、朝から晩まで続き、往復に時間がかかるだけでなく、向こうにいる数日間も予定がいっぱいで、仕事よりも忙しい。こういう『かえって多忙な休日』を完全に排除するわけではないが、家に帰りたくないのにはもう1つ理由があって、それは結婚相手を見つけろとか、お見合いしろとか、うるさく言われることだ」と話した。
人気航空路線も冷え込み 9割引きの航空券も
例年の春節であれば、人気の鉄道路線は乗車券があっという間に売り切れ、航空券も全然手に入らない。今年は「うちで春節」がスタンダードになり、人気航空路線は冷え込み、鉄道路線も乗車券が大量に余っている。
航空券をみると、春節連休期間に北京を出発して、三亜、上海、昆明、成都、深センなどの人気観光都市へ向かう航空券の価格が大幅に値下がりしており、中には9割引き近く値下がりしたものもある。
2月7日20時頃に携程プラットフォームで検索すると、2月10日(旧暦12月29日)に北京から三亜に向かう便は最低価格がわずか797元(1元は約16.3円)で、エコノミークラスは76%割引きとなっている。北京発・深セン着便は328元からでエコノミーが86%割引きだ。2月17日(旧暦1月6日)の杭州から北京への便は最低価格がわずか180元で99.8%割引きとなり、鉄道乗車券よりも安い。
国務院の共同対策メカニズム春運業務専門チームのデータでは、2月6日(春運10日目)に全国の鉄道、道路、水路、航空を利用した旅客はのべ1928万人で、2019年同期比では75.9%減少し、2020年同期比では76.3%減少した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年2月8日