福島第一原発の事故で多額の損害を受けたとして、東京電力の株主が旧経営陣5人に対し会社に賠償するよう求めた裁判で、東京高等裁判所は「巨大津波を予測できる事情があったとは言えない」として、13兆円余りの賠償を命じた1審の判決とは逆に、旧経営陣の責任を認めず、株主側の訴えを退けました。
東京電力の株主たちは、原発事故が起きたのは安全対策が不十分だったためだとして、旧経営陣5人に対し、被害者への支払いや廃炉、除染にかかった費用など23兆円余りを会社に賠償するよう求めています。
株主側は、国の機関が2002年に地震の予測についてまとめた「長期評価」に基づき巨大津波への対策をとるべきだったと主張した一方、旧経営陣側は「長期評価の信頼性は低く、巨大津波は予測できず、対策をしても事故は防げなかった」などとして責任はないと主張しました。
原告側 “不当判決” 原告の木村結さんは判決のあと、東京高等裁判所の前で弁護士らと、厳しい表情で「不当判決」と書かれた紙を掲げました。
原告と弁護団 上告の方針 原告と弁護団は判決後に都内で会見を開き、上告する方針を明らかにしました。
原告 木村結さん“本当に納得がいかない” 原告の木村結さんは「3.11の事故の責任を誰ひとりとらなくてよいという判決で、本当に腹が立っています。裁判長が『切迫した状況ではない』と何度も言っていたが、東京電力が津波対策について話し合った2008年は、柏崎刈羽原発が地震で止まっていて、切迫した状況だった。こうした状況になぜ裁判長は目を向けなかったのか、本当に納得がいかない」と述べました。
<福島 地元の反応>
浪江町に帰還した男性 “事故の教訓 生かされていない” 原発事故のあと一時、町の全域に避難指示が出され、9年間にわたり避難を余儀なくされてきた福島県浪江町の鈴木正一さん(74)さんは「不当判決で、事故の教訓が生かされていない」と話しています。
大熊町から避難の男性 ”東京電力の罪は大きい” 福島県大熊町の自宅が帰還困難区域にあり、いまも郡山市の災害公営住宅で避難生活を余儀なくされている山口裕さん(82)は「巨大津波が来ることが予想できなかったことはひとつの落ち度で、対策を取らなかったことは経営陣として責任の一端を問われてもしかたがないと思う。もう少し裁判を続けてほしい」と話していました。
東京電力 “原発事故 改めて心からおわび” 判決について、東京電力は「個別の訴訟に関することは回答を差し控えさせていただきます」としたうえで「当社原子力発電所の事故により福島県民の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からおわび申し上げます」とコメントしています。
<争点と東京高裁の判断>
巨大津波を“予測できたか” “対策とれたか” 大きな争点に
<「長期評価」とは>
“地震予測の長期評価 根拠としては十分ではなかった”
“元副社長の対応 不合理と断定できない”
“事故を経験したいまは取締役により一層重い責任”
<識者は>
“1審と「長期評価」の受け止めに違い” 原発事故をめぐる国会の事故調査委員会の委員を務めた中央大学法科大学院の野村修也教授は、1審と逆の判断になったことについて、国の機関が2002年に地震の予測についてまとめた「長期評価」に対する受け止めの違いを挙げました。
“社会全体でもリスクゼロに近づける努力 問われる” 事故調査の専門家で、政府の福島第一原発事故調査委員会で技術顧問を務めた関西大学の安部誠治名誉教授は、判決で「巨大津波を予測できる事情があったとは言えない」とされたことについて「津波が原子力発電所を襲うリスクについて、当時の事業者も、規制側も、深刻さや切迫性を持って受け止めるということに決定的に欠けていたことを表していると言える」と述べました。 |
原発事故 東電旧経営陣の責任認めず 1審と逆の判断 東京高裁
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