【パリ福井聡】W杯決勝で、フランスの敗戦が決まった瞬間、パリ中心部、シャンゼリゼ通りの大スクリーン前で仏国旗を振りかざして大声援を送っていた群衆は、意気消沈し、声も小さくなってしまった。PK戦での負けという結末とともに、フランス人の頭に残ったのは、退場となった国の英雄、ジダン選手の姿だった。
シャンゼリゼで観戦したサポーターの若者、シリル・ボネさんは「ジダンの頭に何がよぎったのか分からないが、きっと相手の選手が汚い言葉を投げつけたんだろう」。別のサポーターは「試合内容は散々なのに、結果はPK勝ちというのはイタリアらしい」とやり切れない気持ちをライバルの隣国にぶつけていた。
ベルリンに乗り込んで観戦したシラク大統領も仏テレビに「フランス代表のプレーは素晴らしいものだったが、結果は残念。ジダンは最高の選手で国の誇りなのに何が起きたのか」と話し、首をかしげていた。
毎日新聞 2006年7月10日 10時02分