○オーストラリア3ー1日本●
日本は、高さと身体能力で上回るオーストラリアに最後に力負け。終盤の数分間に立て続けに失点して逆転を許す最悪の形で初戦を落とした。
前半26分、中村の右クロスが直接入り先制。ビドゥカのポストプレーから再三決定機を作られたが、川口の堅守もあり、粘り強く守った。
しかしオーストラリアが長身ケネディを投入しパワープレーを始めると次第に体力を消耗。終盤はゴール前に釘付けとなり39分、右スローインから競り合いのこぼれ球をケーヒルに決められ同点。44分にもケーヒルをフリーにして逆転されると、ロスタイムには裏を突かれてアロイジに決定的な3点目を許した。
オーストラリアが攻守のバランスを崩した前半に追加点が奪えなかったうえ、守備面ではスピードのある坪井が負傷退場したのも誤算だった。
○…日本の唯一の得点は、中村の左足から生まれた。前半26分、駒野からの折り返しを受けるとゴール前へセンタリング。相手守備陣と高原、柳沢がもみ合う頭上を通り抜けてそのままゴールへと吸い込まれた。シュートを狙ったものではなく「FWに頭で後ろに狙ってもらおうと思ってたんだけど」という。W杯デビューを鮮やかに飾る先制点となったが、後半に作ったチャンスはものにできなかった。逆転負けに「相手はそれほどプレッシャーをかけてこなかったのに」と言葉を途切れさせながら悔しそうに話していた。
○…親善試合のドイツ戦でけがをした加地に代わって右サイドで初戦の先発のピッチに立った駒野。積極的にサイドを深く突き、前半26分の中村のゴールを折り返しのパスでお膳立てした。しかし、終了間際には、甘い寄せでアロイジにゴールを許してしまった。「後ろが手薄になると思ってあまり前に出られなかった」という。だが、やや消極的になったのが裏目に出て「振られて抜かれてしまった」と反省の言葉がついた。04年アテネ五輪代表からW杯の舞台へと輝かしい道を歩んだが、そのデビュー戦はほろ苦いものとなった。
○…高原にとって、初のW杯は無得点に終わった。「セカンドボールが拾えなかった。前半はいい形のサッカーができていたが」と淡々と語った。前半22分、三都主からのパスを受けると一度、体を左にひねって相手DFをかわしてから右に倒れてそのままシュート。しかし、ボールはゴールマウスの外へ。後半にも柳沢への惜しいパスがあったが、それも決まらず。「慌ててしまった。もっと丁寧にパスしないと」と次戦に向けての課題とした。
毎日新聞 2006年6月13日 8時15分 (最終更新時間 6月13日 8時20分)