英プレミアリーグ、エバートンに所属するMFは、ベンチで出番を待っていた。ヒディンク監督からピッチに送り込まれたのは、暑さで日本の選手らの消耗し始めた後半8分。激しく前線への突破を挑み、日本の守備を脅かした。
ケーヒルの動きが増すにつれ、日本のテンションが落ちてくる。そして、次第に豪州が勢いをつけた。後半39分、川口の弾いたボールを、すかさず押し込み同点ゴール。日本を混乱させる、悪夢のゴールだった。さらに5分後、クリアボールからのパスを受けると、思い切りよくミドルシュートを決めている。
豪州出身だが、16歳の時にサッカー選手を目指して父の母国イングランドへ。英1部のミルウォールでの活躍が認められ、04年に念願のプレミアリーグへ。サモア人の母を持ち、14歳の時に西サモア代表として20歳以下の試合に出場。04年のルール変更で国籍変更が認められ、晴れて豪州代表の仲間入りを果たした。
「子供のころからの夢だったW杯に参加できるだけで信じられないのに、ゴールまで決めるなんて。今は、支えてくれた家族やみんなに感謝したい」。あきらめず追い求めてきた夢が、大きく花開いた。【辻中祐子】
毎日新聞 2006年6月13日 8時01分