東京証券取引所の鶴島琢夫社長は15日会見し、現行の売買システムが何らかの障害で停止しても、市場取引を続けられるよう、予備のコンピューターを置くバックアップ施設を建設する方針を明らかにした。1日に起きた売買システム障害の再発防止策について金融庁に提出した報告書に盛り込んだ。
建設時期や場所、投資額などを来年3月に策定する06年度から3年間の中期経営計画で定める。ヨーロッパの証券取引所はメーンのコンピューターと別の場所にバックアップ施設を設けている。東証は、テロや大地震などの被害も想定し、同様の対応を検討している。
一方、全国の証券取引所で共通のバックアップをつくる構想が浮上していることについて、鶴島社長は「東証の独自案をまとめたうえで、他の証券取引所と協議する」と述べ、現状では消極的な姿勢を示した。
東証は、富士通が作成したプログラム作業指示書の間違いを発見できず、今回のシステム障害を招いた事実を重視。月内にシステム改修に関するマニュアルを見直す。また、障害が発生しても取引開始前に解決できるよう、12月からシステムの起動時間を午前4時半に2時間前倒しする。【竹島一登】