第18回東京国際映画祭は30日、渋谷のオーチャードホールでクロージングセレモニーが開かれ、日本映画「雪に願うこと」に最高賞の東京サクラグランプリと最優秀監督賞(根岸吉太郎監督)、最優秀主演男優賞(佐藤浩市)が贈られた。
セレモニーで審査委員長のチャン・イーモウ監督は「『雪に願うこと』は上映後に審査員全員が感動した。満場一致でグランプリに決まった」と選考経過を述べ、「今回は全ての賞が満場一致で決まった。他の映画祭の審査員も務めてきたが、このような現象は記憶にない」と話した。
3賞に輝いた「雪に願うこと」の根岸監督は「馬の生命力とともに日本の家族を見つめ直したいと思った。家族を描くのは日本映画の1つの伝統であり、日本映画の多くの先達たちにこの作品を捧げたい」と喜びを語った。
「雪に願うこと」は一般の観客が選ぶ観客賞にも選ばれた。
受賞結果は次の通り。
東京サクラグランプリ=「雪に願うこと」(根岸吉太郎監督)▽審査員特別賞=「女たちとの会話」(ハンス・カノーサ監督)▽最優秀監督賞=根岸吉太郎監督(「雪に願うこと」)▽最優秀主演女優賞=ヘレナ・ボム・カーター(「女たちとの会話」)、ジン・ヤーチン(「私たち」)▽最優秀主演男優賞=佐藤浩市(「雪に願うこと」)▽最優秀芸術貢献賞=「ドジョウも魚である」(ヤン・ヤーチョウ監督)
◇アジア映画賞は「細い目」
また、映画祭で上映された一部の新作を対象に、最も優秀なアジア映画作品を選ぶ「最優秀アジア映画賞」には、映画「細い目」(ヤスミン・アフマド監督)が決まった。スペシャルメンションにはシンガポール映画「一緒にいて」(エリック・クー監督)が選ばれた。
◇日本映画・ある視点部門作品賞は「カミュなんて知らない」
また、同日夕方に六本木アリーナで行われた授賞式では、昨年から新設された「日本映画・ある視点」部門上映作品のうち、最優秀作品に贈られる作品賞は「カミュなんて知らない」(柳町光男監督)に決まった。同特別賞には「スキー・ジャンプ・ペア」が選出された。