石油開発国内最大手で政府系の国際石油開発と同3位の帝国石油は5日、来年春をめどに共同持ち株会社を設立して経営統合することを決めた。同日午後に発表する。世界的な資源高で国際的な開発競争が激化する中、規模拡大で競争力強化を目指す。
経営統合後の売上高は約5600億円(04年度連結決算)規模になる。まず、共同持ち株会社を設立して、その傘下に国際石油開発と帝石が入り、その後、海外での石油・天然ガス開発事業と、国内での天然ガス生産・輸送事業の2事業会社に再編する案が有力。統合により、安定的な開発資金確保と有力鉱区の獲得を目指す一方、経営効率化も図る。
国際石油開発は株式の約36%を旧石油公団から引き継いだ政府が保有する。インドネシアとオーストラリアを中心に天然ガスや油田開発を進めるほか、イランのアザデガン油田の権益も保有している。一方、帝国石油は新潟県などで天然ガスを産出し、首都圏に輸送する事業が柱。現在中国と対立している東シナ海の排他的経済水域付近のガス田鉱区の試掘権も持っている。
今回の統合には、メジャー(国際石油資本)に対抗できる資源開発会社をつくりたい政府の思惑も背景にある。【須佐美玲子】
■ことば(国際石油開発) 66年設立。04年度末の原油・天然ガス生産量は日量33万バレルで国内首位。04年11月に東証1部に上場した。従業員は387人。05年3月期は売上高4785億円、経常利益2586億円。
■ことば(帝国石油) 半官半民の国策会社として41年に設立され、50年に民間会社として再出発。原油・天然ガス生産量は日量5万バレル。従業員数は1331人。04年12月期の売上高は840億円、経常利益165億円。