楽天がTBSに経営統合を提案し、両社のにらみ合いが続く中、長期戦で臨むTBSに対し、楽天が少しずつ譲歩し始めた。TBSが統合協議入りするかどうか決めるまでは株式の公開買い付け(TOB)をしない方針を表明。「TBSが安定株主対策を止めれば楽天も株の買い増しはしない」としていた当初の条件付き「停戦協定」を軌道修正し、TBSの動向にかかわらず当面株の買い増しをしない構えを見せている。長期戦に持ち込まれたくない楽天の苦悩がうかがわれる。
楽天はTBS株の取得費用1110億円を金融機関から借り入れており、長期化するほど金利負担が重くのしかかる。このため、譲歩策を矢継ぎ早に出すことで、TBS内部に根強い不信感を払しょくし、早期の統合協議入りを実現させようとしたとみられる。
しかし、こうした楽天側の軟化にも、TBSが歩み寄る兆しはまだ見えない。TBSは4日、楽天の国重惇史副社長に、今月いっぱいかけて、楽天から受け取った統合計画書の評価作業を行う方針を伝えた。同社によると、評価作業後に取締役会を開いて統合協議入りの是非を決め、12月に楽天に回答するという。ただ、TBS内では現段階で「統合の利点がない」との声が強く、回答は「統合協議入りできない」との内容になりそうだ。【TBS問題取材班】