ヤンキースと4年総額5200万ドル(約61億8800万円)で契約を延長した松井秀喜外野手(31)に16日(日本時間17日)、ジョー・トーリ監督(65)が“師弟愛”で応えた。ヤンキースタジアムでの会見に駆けつけた恩師は、1737試合まで伸ばしている連続試合出場記録の更新をサポートすることを約束。また、来季の中堅コンバートも示唆した。
日米約80人の報道陣が集まり、熱気に包まれた契約延長会見。「最高に幸せ」。晴れ晴れとした表情の松井は再びピンストライプのユニホームに袖を通す喜びを語った。交渉期限終了の約2時間前に合意した4年総額5200万ドルの大型契約。残留を決断した裏には指揮官の続投があった。
「もちろん、彼が監督でいるというのは、非常に大きな要素です」。5年連続で世界一を逃したことで去就が注目されたトーリ監督だが、先月18日に残留が決定。「世界中の金をかき集めてでも再契約するべき」とまで言ってくれた監督の助けになりたいという思いはやはり強かった。
そのトーリ監督は会場の後方で“孝行息子”の姿を見守っていた。「うまくいって満足している」。そして「われわれは彼が毎日必要だから使うんだ。DHや9回での代打もあるが、彼の気持ちを尊重したい」と連続試合出場記録をサポートすることを約束した。現在、日米合わせて1737試合(日本1250、米国487)。今後、契約期間である4年間全試合出場を続ければ“歴代2位”の2385試合まで伸び、鉄人カル・リプケン(オリオールズ)が持つ大リーグ記録(2632試合)も視界にとらえる。松井は「決めるのは監督の仕事。僕はその決断に従うだけ」と喜んで受け入れた。
トーリ監督にとって、チームの勝利を優先に考える松井は欠かせない存在。「(プレーオフで)エンゼルスに負けた時、彼は空港で“打てなくてすいません”と謝ってきた。彼はそういう男なんだ」とエピソードまで披露した。守備位置については「たぶん一番自然に守れる位置だろう」と中堅コンバートを示唆。固いきずなで結ばれた2人。来季のヤ軍は背番号55を“中心”に据え、6年ぶりのV奪回を目指す。
≪草野球では負け投手≫松井は会見後、毎年恒例となっている日本報道陣との草野球大会に出場した。自らのチームと広岡広報チームに分かれての対戦。「4番・投手」で出場し、3打数3安打1打点と活躍したが、7回を完投した投球は、11三振を奪ったものの5安打6失点で逆転負けを喫し「負けるとは思わなかった」と本気で悔しがっていた。