昨年12月のスマトラ沖大地震で、津波に被災したスリランカの子供たちを励まそうと、千葉県柏市柏の洋画家、長縄えい子さん(68)が絵本「TSUNAMI(つなみ)」(B5判28ページ、1000円)を出版した。同国のボランティアの協力で現地語版1万部を作り、近く小中学校にプレゼントするという。絵本原画の展示会のために長縄さんは21日、現地を訪問する。
「スリランカは約3万5000人の死者が出た。親を亡くした子供たちに元気を与えるために絵本を作ってほしい」。絵本作りのきっかけは、今年2月に友人の東京都足立区在住のスリランカ人でインド古典音楽家、プレーマーダーサ・ヘーゴダさんからのこんな相談だった。長縄さんは昨年7月、ヘーゴダさんに頼まれて同国を訪れ、幼稚園の先生らに童話絵画の制作を指導した。この時に知り合った人たちが被災したことを知って心を痛めており、依頼を快諾した。
絵本は、現地の海岸付近にいた象が津波襲来を事前に予知し、高台にいち早く逃げたという実話に基づいている。これに、集団からはぐれた子象を必死に探す母象が、間一髪のところで助け出して避難する話を絡ませ、親と子の情愛を描いた。
日本語版は今月4日に出版。現在、現地の出版社に原文を送信し、公用語(タミル語とシンハラ語)に置き換えた1万部の制作が進んでいる。現地での印刷代はへーゴダさんが全額負担する。
本の問い合わせは、出版元・千葉県柏市の「たけしま出版」の竹島巌社長(04・7167・1381)。【大矢武信】