近所の女性の腹をナイフで刺したとして、殺人未遂などの罪で実刑判決が確定した香川県内の男(21)が、未決拘置中だった今年9月、拘置先の高松刑務所(高松市松福町2)から、被害者の女性あてに「殺しに行く」などと書いた手紙を送り、脅迫の疑いで県警に再逮捕、起訴されていたことが分かった。郵便物は刑務所が事前に検閲するが、男の手紙の内容については見落とされていた。
男は04年9月、近所の女性に悪口を言われたと思い込み、女性宅を訪れて女性の腹を刺して重傷を負わせたとして逮捕、起訴された。高松地裁は今年5月、懲役4年6月の判決。男は控訴したが、同10月に高松高裁で棄却され、刑が確定した。
しかし、1審公判の際、女性が厳罰を希望したことを男は逆恨みし、判決が確定する前の今年9月1日、女性あてに「死ね」「これを家族に見せたら殺しに行く」などと書いた手紙を同刑務所から郵送。手紙は同2日に届いたという。
女性側から通報を受けた県警さぬき署が男を脅迫の疑いで再逮捕し、高松地検が同罪で起訴。公判で検察側は懲役2年を求刑、今月30日に判決が言い渡される予定。
法務省矯正局によると、刑務所で未決拘置中の被告が出す手紙は、証拠隠滅や逃亡の恐れがないかを重点的に検閲。高松刑務所では、1日あたり約200通の手紙などを4人程度の刑務官でチェックし、被告が出す手紙に脅すような言葉が含まれていれば発送を差し止める場合もあるという。
同刑務所の田上孝忍総務部長は「起訴された事案が発生したことは遺憾だが、裁判中なのでコメントを差し控えたい」としている。【南文枝】