大相撲九州場所９日目の２１日、朝青龍が旭天鵬を相手にせず、９連勝。琴光喜が稀勢の里に寄り倒されたため１敗がいなくなり、早くも横綱の独走態勢。２敗は琴光喜のほか、玉乃島を時機よくはたいた千代大海、安馬を一気に押し出した琴欧州、平幕の十文字の計４人。

　◇マイク集

　○朝青龍　（自己最多の年間７９勝）まだまだ。８０勝したらいいな。２差？　（女子マラソンの）高橋尚子さんは根性あったね。肉離れを打ち明けた会見では笑い方に不安が見えたけど、復活して消したね。

　○稀勢の里　（１敗の琴光喜を降し）左が入ったんで休まないでいった。上にはいい相撲を取れたが、落としている相撲の内容が悪い。守りに入らないようにしたい。

　○普天王　（ようやく初日）立ち合いは悪くないが、二の足が出ていない。自分の体を全部把握し切れていない。

　○高見盛　（６勝目）まだまだあと６日ある。頑張らなきゃ。

　●琴乃若　（息子が場所入りした日曜日から連敗）早く誕生日（１９日）のプレゼントしたいんだが。（小柄な）豊ノ島について感想？　自分は舞の海も嫌いだったな。

　○出島　（７連敗の後２連勝、時天空を豪快にすくい投げ）もういっぱいいっぱい。本当は（土俵際まで寄った）あそこで決めないと。

　○白鵬　（３敗をキープ）昨日は（敗れて）悔しかった。今日、いい相撲を取ってチャラにした。

　●琴光喜　（稀勢の里に敗れ２敗に後退）立ち合いがだめだった。合わせていっちゃって。痛恨の失敗。やっちゃったって感じです。あー。

　◇痛恨の失敗　琴光喜

　背信相撲がため息を誘った。若手の一気の攻めに土俵下に飛んだ琴光喜だ。

　張って出たが、稀勢の里に左を差されて出られると残り腰がない。その左を両腕で抱えて振っても体を密着されて、もうなす術なし。

　けいこ場では問題にしない相手。張って得意の右下手を取るつもりも、なにせ体が高い。「体が（稀勢の里より）上になっちゃった」。取り口の中身を聞かれ「痛恨の失敗。思い出したくないな」。かちあげて出ればよかった、の後悔だ。

　優勝経験もある実力者だが、ポカが多い。白鵬戦で変化しての負けを振り返ったのは、快勝した８日目。「負けて目覚めたということもできる」と胸を張り、そしてこういった。「調子が良いと迷う」。もともと作戦をたてて土俵に臨むタイプ。それがモロに出たのだが、がむしゃらさの足りなさがもたらした負けともいえる。

　中身のない取り口で１敗があっさり消えて「良い時と悪い時の差がありすぎ。自分の勝ちパターンを持たないと」と九重審判長。

　横綱のほうはスキなしの充実ぶりで今場所話題の記録は千秋楽前にも決まる気配だ。「２差？　なんも気にしてないよ。１番に集中しているだけ」と朝青龍。すっかり余裕だ。

　独走の流れに９日目は半分にも満たない約４２００人。ファンの目は厳しい。さらに落胆させたツケは後半戦にも響いてきそうだ。【武藤久】

　○…琴欧州が新鋭の安馬を、一直線の押しで退けた。立ち合いが合わず「擦っちゃったよ」と赤くなったこぶしをみせながら笑う琴欧州。この日、北の湖理事長の記者懇談があったのを知り「理事長は何話してた？」と逆取材。＜力強さが大事だが、１０勝で昇進＞との趣旨を聞くと「不戦勝は関係ないの？」。あと３勝という目標が見え、気になるのは星の数ばかりか。

　○…魁皇が岩木山を豪快なはたきに仕留め、６勝目。立ち合いで相手の左腕をたぐり、一気に土俵際まで寄って出ると、今度は上から力任せに押さえ付けた。「ちょっと伸び上がってしまったが前には出ていた。（土俵際で）あれより前に出ることはあきらめた。勝つことが一番」と納得の表情。カド番脱出まであと星２つだが、「これからどんどんしんどくなってくる。相手に合わせるより、自分で（相撲を）徹底していけるように」と気を引き締めていた。

　○…千代大海が回転の速い突っ張りで玉乃島を押し込んだ後、得意のはたき。「（後半戦）確実に良くなってますね」と手応えを話した。しかし、「せっかく受けてもらったのに、はたいてしまって。足がそろっちゃって、あそこではたかれたら危なかった」と反省も忘れない。最後は「肩が重い。立ち合い、首に電気が走った。あれで“配列”が良くなった」とジョークも飛び出し、報道陣を笑わせた。