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W杯準決勝:仏のジダン、自ら決めた得点で決勝に進出

フランスのジダンは、「ラストダンス」を披露するのに最高の舞台であるW杯決勝へ、自ら決めた得点で勝ち上がった。

 98年W杯で開催国だった母国を初優勝に導き、00年欧州選手権も優勝。個人としても国際サッカー連盟の年間最優秀選手を3度獲得した。だが、体力、気力の衰えは誰にでも訪れる。02年W杯日韓大会は自らの不調が響いて1次リーグ敗退。34歳の誕生日を期間中に迎えた今大会を最後に現役引退することを表明してドイツに乗り込んだ。

 1次リーグは精彩を欠いた。暑さの影響もあってか、動きが重かった。スイスとの初戦は無得点引き分け。周囲の選手とかみ合わぬいらだちが、衆人環視のもと、口論となって表れた。この時点で、フランスが決勝まで残ることを果たして誰が想像できただろうか。

 1次リーグ第3戦のトーゴ戦は累積警告で出場停止処分。不完全燃焼のまま現役生活に終止符を打つ恐れもあった。だが口論を恐れずに、より良いサッカーを目指した仲間の奮起に救われた。

 そのジダンが、決勝トーナメントに入ってからは、燃え尽きる直前の炎のように激しい輝きを放っている。1回戦のスペイン戦で今大会初ゴールをマーク。準々決勝ではFKからアンリの決勝点を引き出して優勝候補筆頭のブラジルを破った。

 この日の準決勝では前半33分、決勝点のPKをゴール左隅に決めた。ポルトガルのGKリカルドにコースを読まれたが、助走をほとんどつけずにコンパクトに振り抜いたのが良かった。プレーに全盛期の切れはなくても勝負勘は健在だ。

 ドメネク監督は言う。「一試合一試合、これが最後かもしれないと思うことが表現豊かなプレーにつながっている」。仲間のビエラも「相変わらずファンタスティックだ。決勝を最後の舞台とすることができてうれしい」と喜んだ。

 ジダン自身は「最後の冒険」と表現する。物語の最終章に、彼はどんな結末を書き加えるのだろうか。【安間徹】

毎日新聞 2006年7月6日 12時09分

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