女流棋士の独立をめぐり、将棋界が揺れている。新法人設立を目指す女流棋士グループと日本将棋連盟(米長邦雄会長)の理事会が対立。理事会は今月上旬、女流棋士全員に「連盟に残るか、新法人に移るか」の選択を迫る文書を送った。女流棋士の間でも意見が分かれ、先行きが見えない状態になっている。
女流棋士会(53人)は昨年12月、新法人設立準備委員会の設置を賛成多数(賛成44、反対1、棄権8)で決めた。連盟の西村一義専務理事は「誠意を持って対応したい」とコメント。準備委と理事会は1月末までに計3回、正式協議を行った。準備委の錦織淳弁護士は「大枠については合意した」と話す。
準備委は2月に入り、新法人設立に向けた寄付金の募集を始めたが、理事会は「了承していない」と反発。さらに「相当数が連盟への残留を希望している」として、一定の理解を示していた態度を硬化させた。
理事会は女流棋士に対し、3月7日付で「連盟に残留した場合、対局の権利を保証する」「新法人へ移籍した場合、対局の権利は協議により決まる」などと記した文書を送付。22日までに残留届か移籍届を提出することを求めた。
準備委は9日、「女流棋士の分裂を前提にし、それを固定化させるもの」として文書の撤回を要求。文書中に「女流棋戦の主催者との間で『連盟を外した契約は考えられない』と確認した」とある部分については、複数社の担当者が「そんな話は決まっていない」と理事会に抗議した。
西村専務理事は「独立派と残留派の溝が深まっており、何らかの対応をすべき時期にきた」と話す。一方、準備委員長の中井広恵女流六段は「全員で新法人に移りたい気持ちは変わらない」と話している。【中砂公治】
毎日新聞 2007年3月15日 3時00分