【ニューヨーク＝共同】黒人差別が強かった1930年代の米南部を取り上げ、社会の不公正を鋭く指摘した名作「アラバマ物語」の続編「ゴー・セット・ア・ウォッチマン」の７月発売が決まった。米出版社が今月４日までに発表した。著者でピュリツァー賞を受賞したハーパー・リーさん（88）が50年代に書いた原稿が最近見つかった。

アラバマ物語は世界中でベストセラーになり、米国の学校教材にも使われてきた。映画化され俳優グレゴリー・ペックが誠実な弁護士を好演した。リーさんはこれ以外に作品を発表しておらず、主人公らの20年後を描いた続編に関心は高い。

アラバマ物語は、黒人男性が白人女性を暴行したとされる事件を軸に展開し、被告を弁護した白人男性とその娘らの体験を描いた作品。今回の原稿はアラバマ物語より先に書かれたが、成人の娘より幼い娘の視点の方がいいという編集者の助言に従ってアラバマ物語を別に書き下ろした。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、原稿は紛失したとみられていた。筋書きの中心部分はアラバマ物語に回ったとされ、続編の評価に懐疑的な声もある。

リーさんは2007年に脳卒中になり、介護施設で暮らしている。出版社を通じ「信頼できる人たちが出版に値すると判断し、うれしく思う」との声明を出した。