滋賀県愛荘町立中学校で2009年、柔道部の練習中に死亡した村川康嗣君(当時12)の遺族が元顧問に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は7日までに、遺族側の上告を退ける決定をした。元顧問の個人責任を認めない一、二審判決が確定した。決定は5日付。
村川君の母、弘美さん(47)が11年、町と元顧問に計約7600万円の賠償を求めて提訴した。一審・大津地裁は元顧問の過失を認定したうえで「公務員の過失による損害は公共団体に賠償責任がある」として町に約3700万円の支払いを命じ、町に対する裁判は確定。上告審では、元顧問の個人責任を問えるかが争点になっていた。
遺族側は「私立学校では教師の個人責任が問えるのに、公立で問えないのは不合理だ」と主張していた。
一、二審判決によると、1年生だった村川君は09年7月、町立秦荘中で乱取りの練習中、元顧問と組み合った後に倒れて意識を失い、約1カ月後に急性硬膜下血腫で死亡した。
元顧問を巡っては大津検察審査会が業務上過失致死罪で「起訴相当」と議決。大津地検が再び不起訴とし、検察審が昨年10月、2度目の議決で「起訴議決に至らない」と結論付けた。