手作りの木製トンボを使ってグラウンドを整備する福井高専の部員たち=2018年7月18日、福井県鯖江市、平野尚紀撮影
グラウンド整備のトンボに散水設備、ティーネット――。高校野球福井大会で1、2回戦を勝ち上がり、8強入りした福井高専(福井県鯖江市、部員37人)はものづくりの技術力を生かし、道具や設備を手作りしてきた。
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「自分たちで使うものを自分たちで作ろう」という、2013年度に始まった学校のプロジェクトがきっかけ。校内のグループで申請して認められると、学校に材料費を負担してもらえる仕組みだ。
3年生は1年生の頃、トンボを20本作った。新入部員が多く、全員でグラウンドを整備できるだけの木製トンボがなかったからだ。
図面を引き、材料を購入。170センチの柄に板や支え板をねじで固定した。工具類は環境都市工学科准教授でもある辻野和彦監督(44)が用意した。
4年前は雨水を利用した散水設備。雨どいを通して雨水をタンクにため、ポンプでくみ上げて消防用ホースでまく仕組みだ。部員がポンプとホースを溶接した。3年前はティーネット。金属製のパイプを金具で接合し、ネットを巻きつけた。どちらも秋に2~3週間かけて作った。
去年はグラウンド脇の草地を掘ってコンクリートを流し、部員用に約20台分の駐輪場を作った。そこに屋根をかけるのが今年度のプロジェクトだ。
井波大地主将(3年)は「何代にも伝わっていくもの。ちゃんと作らないと、との思いで取り組んでいます」と話す。辻野監督は「手作りすることで他の道具も大事にすることにつながる。手間はかかるが、その心が大事」と意義を語る。
昨夏に続く8強。井波主将は「先輩方と同じ土台に立てた。さらに上を目指したい」。22日の準々決勝に向け、きれいにならしたグラウンドで練習に励む。(平野尚紀)
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〈高専〉 高等専門学校の略。創造性をもった技術者の育成などを目的にした5年制の教育機関。全国に国公私立57校ある。福井高専は国立で、機械工学や電子情報工学など5学科ある。1014人が在籍し、うち1~3年生は参加資格に合わせて高校生の各種大会に出場している。