東京大学の清水敏之教授らは体に備わる免疫細胞がウイルスなどの病原体を認識して攻撃する仕組みの一端を解明した。免疫に関わるたんぱく質と病原体のDNAの一部が結合する様子が詳しくわかった。免疫反応を強める薬や感染予防ワクチンの効果を高める技術開発につながる。成果は10日、英科学誌ネイチャーに発表する。
免疫細胞の表面にあるたんぱく質「TLR9」を調べた。ウマのTLR9遺伝子をショウジョウバエの細胞に組み込んでたんぱく質を作り、微生物のDNAと反応させて結晶にした。結晶の構造をよく観察すると、2組のたんぱく質が2組のDNAと結合していた。TLR9がDNAと結合して免疫細胞に情報を伝えるしくみをとらえていたという。
研究チームはTLR9とうまく結合する分子を設計すれば、強い免疫反応を起こしてワクチンの効果を高めることができると考えている。