【ロンドン＝黄田和宏】米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは９日、ギリシャの主要金融機関５行の格付けを一斉に引き下げたと発表した。ギリシャ政府と欧州連合（ＥＵ）などとの金融支援を巡る交渉が２月末の期限までに合意に達する見通しが立たず、経営が悪化した場合に政府の支援を得られる可能性が低下したと判断した。さらに格下げ方向で見直す。

ピレウス銀行、ナショナル銀行、アルファ銀行の３行を「Ｃａａ２」（トリプルＣに相当）、ユーロバンクとアッティカ銀行を「Ｃａａ３」と、いずれも１段階引き下げた。

ギリシャの金融機関は大量の預金流出により、資金調達を欧州中央銀行（ＥＣＢ）に大きく依存してきた。ＥＣＢが４日にギリシャ国債を担保に資金を供給する特例措置の撤廃を決めたことで、ムーディーズはギリシャ中銀が独自に供給する緊急流動性支援（ＥＬＡ）が現在の10倍の500億ユーロに膨らむと予想。資金繰りの厳しい状況が続くとみている。