内閣府が16日に発表した2014年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.6%増、年率換算で2.2%増になった。プラスになるのは3四半期ぶりで、14年4月の消費増税後初めて。輸出と個人消費が全体を押し上げた。ただ成長率は市場予想を下回り、景気が持ち直すスピードが緩やかにとどまっている状況を映した。
甘利明経済財政・再生相は発表後の記者会見で「雇用・所得環境が引き続き改善し、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる」との認識を示した。実質GDPの市場予想の中央値は前期比年率3.8%増(QUICK調べ)。生活実感に近い名目GDPは前期比1.1%増、年率で4.5%増だった。
世界経済の持ち直し傾向を背景に、輸出は前期比2.7%増と14年1~3月期以来の伸びになった。地域別では米国向けや中国向けが好調。品目別では電子通信機器や化学製品などが増えた。輸入は1.3%増。海外需要がGDPに与える寄与度は0.2ポイントと3期連続でプラスだった。
一方、企業活動は力強さを欠いた。設備投資は前期比0.1%増と3期ぶりのプラスだったが、伸び率はほぼ横ばいにとどまった。パソコンやソフトウエアなどへの投資は増えたが、工場で使う機械などが振るわなかった。公共投資は0.6%増と3期連続で増え、政府の経済対策が経済を支えている構図だ。
個人消費は実質で前期比0.3%増と2期連続で増えた。増税後に冷え込んだ消費者心理が持ち直し、携帯電話やパソコン、飲料などが売れた。ただ住宅投資は1.2%減と3期連続でマイナスになり、増税前の駆け込み需要の反動から抜け出せていない。
物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比で2.3%上昇し、前期よりも上昇幅が拡大した。
収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースの前年同期比で2.2%増えた。ただ物価の影響を除いた実質ベースは0.5%減と4四半期連続のマイナスだった。
同日発表した14年の実質GDPは前年比横ばいの0.0%増(プラス0.04%)。消費増税の影響で消費が低迷したものの、公共投資が下支えした。名目GDPは1.7%増だった。雇用者報酬は名目で1.8%増と1997年以来の高さ。ただ実質は1.0%減で、手取り収入の増加が消費増税と物価上昇に追いつかなかった。