大塚家具の経営体制を巡り創業者の大塚勝久会長と娘の大塚久美子社長の対立が深まっている。勝久会長が退任する人事案を決めた久美子社長は26日、久美子氏を取締役に含まない人事案を株主提案した勝久会長との委任状争奪戦をにらみ株主への説得を始めた。勝久会長も社長復帰に向け支持の取り付けを急ぐ。父娘の駆け引きは3月27日の株主総会に向けて激しくなりそうだ。
久美子社長は26日に開いた経営方針説明会で「株主の説得を進めており理解を得られると思う」と強調した。一族以外の主要株主はまだどちらを支持するか表明していない。
記者会見する大塚久美子社長(26日、東京都千代田区)
同社長が説明した今後3年の中期経営計画では、気軽に入りやすい店作りやホテルや高齢者施設向けなど法人事業を強化する考えだ。勝久会長が進めてきた会員制店舗は「入りにくいと感じる顧客がいる」と述べた。
業績面では経費削減で15年12月期には2期ぶりに営業黒字に転換させるとした。会社側が株主に勝久会長の退任を提案したことについて「創業者がいなくても成長できる組織に変える時期に来ている」と指摘した。
25日に勝久会長が家族の資産管理会社を巡って久美子社長を提訴したことについては「事実認識に誤りがある」とした。その上で「私的な問題を上場会社の法令順守のあり方に持ち込むのは無理がある」と述べた。
勝久会長は26日、久美子社長の会見を受けて、「切実な覚悟で立ち上がった社員の思いが伝わらず、非常に残念」とのコメントを公表した。25日に勝久会長が出席した記者会見には幹部社員らも出席した。父娘の対立が社内を分断している様子がうかがえた。
同日の記者会見で勝久会長は自身が進めた会員制について「選択的な会員制で、希望者は店内を自由に見ることもできる」と説明した。「専門知識を持つスタッフによる丁寧な接客が、大塚で買う付加価値になる」と久美子社長の路線に異議を唱えた。久美子氏が社長だった09年12月期から13年12月期に業績が伸び悩んだと指摘し、経営者としての能力に疑問を投げかけた。