大手銀行などが、経営が悪化している東芝に対し、融資先の格付けにあたる「債務者区分」を引き下げる動きが出ている。同社は以前は優良な貸出先で、貸し倒れに備えた「引当金」はほとんど積む必要はなかったが、引き下げで積み増しの必要が出てきている。
東芝、新たな損失の恐れ 米原発建設で最大数千億円規模
銀行は融資先の企業に対し、財務状況などから「債務者区分」という格付けをする。金融庁のマニュアルに基づき、大まかに「正常先」「要注意先」「破綻(はたん)懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5段階がある。「要注意先」の中には「要管理先」があり、「要管理先」以下が「不良債権」とされる。
東芝の主力取引銀行は、三井住友、みずほ、三井住友信託の3行で、2016年3月末時点の融資残高は約1300億~1800億円。三菱東京UFJ銀行は1千億円超で、地方銀行なども融資している。
有数の大企業で、財務状況も優良だった東芝は、これまで「正常先」だった。しかし、原発事業での損失拡大で、16年12月末時点で債務超過となり、17年3月末時点でも債務超過の可能性がある。すでにみずほは東芝を「要注意先」に引き下げた。三井住友と三菱東京UFJも、決算の動向をみて引き下げを検討する。
債務者区分に応じた引当額は、…