厚生労働省が27日まとめた1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍と、前月と同じだった。22年9カ月ぶりの高い水準を保った。企業の求人は伸びており、人手不足が続いている。総務省が同日まとめた完全失業率は3.6%と前月より0.2ポイント上がった。新たに働きに出たり、より良い条件の仕事への転職を目指したりする人が増えたためだ。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高いほど、働く人が仕事を見つけやすい一方、企業にとっては採用が難しくなる。
1月に受け付けた新規求人数(原数値)は前年同月より3%増えた。伸びたのは主要11業種のうち6業種。医療・福祉(11.3%増)、理美容など生活関連サービス(8%増)、卸売・小売業(3.9%増)が大きく増えた。
一方、建設業は4.2%減、運輸・郵便業は3.1%減でともに6カ月連続で前年の水準を下回った。新たに職を探す人は6.7%減り、少ない求職者を多くの企業が奪い合う構図が続いている。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は0.70倍と前月より0.01ポイント下がった。
完全失業率は働ける人のうち、仕事につかずに職探しをしている完全失業者の割合を示す。1月の実績は4カ月ぶりに悪化した。完全失業者が7万人増えたためだ。
完全失業者が増えたのは「自発的に仕事を辞める人が増えるなど、労働市場への参入が増えたため」(総務省)といい、7万人の増加のうち、より良い条件の仕事を探して自己都合で退職した人が3万人、新たに職を探す人が3万人を占めた。解雇など意に沿わない失業は1万人増にとどまった。
就業者(原数値)は6309万人と前年同月から47万人増えた。就業率は57%と前年同月から0.5ポイント上がった。女性が29万人増えたほか、男性も19万人伸びた。
年齢別にみると65歳以上(74万人増)のほか、45~54歳(28万人増)が大きく伸びた。業種別にみると製造業が12万人増えたほか、農林業(9万人増)、情報通信業(6万人増)の伸びが目立った。一方、運輸・郵便業と生活関連サービス業は、ともに6万人減った。
雇用者に占める非正規雇用の割合は37.8%と同0.2ポイント伸びた。パート・アルバイトで働く人が増えているため。就労が進んでいる高齢者や女性にはフルタイムではなく、短時間で働くことを望む人が多いためだ。