日銀の黒田東彦総裁は27日午後、日本記者クラブでの講演後の質疑応答で、原油安は「経済にとっても物価にとってもマイナスではない」との見方を示した。昨年の夏場から原油価格が5割以上下落し、消費者物価の下押し圧力になっているとする一方、「長い目でみれば需給ギャップが縮小し、物価が上昇していく」と述べ、長期的には物価の押し上げ要因として働くと指摘した。
黒田総裁は「100%原油を輸入している日本としては経済的に大きなプラス」と原油安の日本経済への恩恵を強調。物価への影響については「原油価格が大きく下落した下では(消費者物価指数以外の)他の指標もより注目していく必要がある」とし、基調を見極める必要性を重ねて示した。
基調的な物価は「需給ギャップと予想物価上昇率といった基本的なものをみていく必要がある」と指摘。需給ギャップは「このまま行けばゼロか若干のプラスになる」との見方を示したものの、「(物価安定目標の)2%の達成がなければ金融緩和を停止していいとはならない」として、2%の水準を安定的に持続できるかどうかを見極めていく姿勢を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕