マツダは27日、小型の多目的スポーツ車(SUV)「CX―3」を発売した。世界販売目標の15万台をすべて本社工場(広島市)で生産する。昨年1月にメキシコ工場が稼働した影響で、足元の国内生産は減少が続く。CX―3のグローバルでの販売が目標を達成できるかが、国内生産維持の焦点になりそうだ。
「広島の地場のものづくり力を最大限に活用する」。東京都内で開いた記者会見で小飼雅道社長は強調した。販売台数が伸びれば、海外で生産する可能性があるかとの質問には「多少の販売台数の変動には増産で対応できるよう準備している。現時点で海外生産は考えていない」と明言した。
1月の本社工場と防府工場(山口県防府市)の生産台数は前月比10.9%減で、5カ月連続で前年同月を下回った。原因はメキシコ工場の本格稼働だ。7月から昼夜交代の2直生産を始め、月産が1万台を超える水準が続く。同工場の主な生産車種で欧米にも輸出している小型車「アクセラ」は、防府での生産が1月には4割も減った。
CX―3は日本を皮切りに3月中にオーストラリア、その後、欧州、北米にも投入する。世界販売15万台が達成できれば国内の生産や雇用の維持・拡大につながり、中国地方の部品メーカーにも恩恵が広がる。小型SUV市場は世界的に高い成長が見込まれるが、ホンダなど各社も新型車を投入している。厳しい競争を勝ち抜いて販売目標を達成できるかに注目が集まっている。