国立循環器病研究センターは、寝たきりなどにつながる脳梗塞の症状を再現できるマウスを開発した。同様のマウスは従来多く存在するが、新マウスは人で発症する脳梗塞により近い状態を再現できる。新たな治療薬開発などに役立つ成果で、米神経科学会誌に4日掲載された。
開発したモデルマウスは脳の内部にある「白質」という部分の血管が詰まり脳梗塞の状態になる。人の脳梗塞も同じ仕組みによって発症するケースが多い。発症後のマウスで、運動機能や記憶力が通常より低下しているのを確認した。
従来の脳梗塞マウスは脳の外側の「灰白質」に障害が起こるタイプだった。人の病態を十分に再現できず、開発した薬の効き目を見極めるのが難しい例もあったという。
研究グループは、首の血管を狭め、白質の部分の血流を滞らせる手法で新しいモデルマウスを作った。脳梗塞を中心とする脳血管疾患は日本人の死因として、がん、心疾患、肺炎に次いで4番目に多い。