【NQNニューヨーク=神能淳志】4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は小幅に続伸した。前日比5銭の円高・ドル安の1ドル=119円65~75銭で取引を終えた。ユーロなどの主要通貨に対するドル買いが勢いを増す一方、米株安を受けて投資家がリスク回避姿勢を強めるとの思惑から、相対的に金利の低い円には買いが入った。120円台では日本の輸出企業などの円買いも増えるとの見方もあり、円相場は終始119円台後半でもみ合った。
米民間雇用サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が4日発表した2月の全米雇用リポートでは、雇用者数は前月比で21万2000人増えた。市場予想(21万5000人程度の増加)はやや下回ったが、1月分が上方修正されたため、米労働市場が改善しているとの見方は続いた。
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2月の非製造業景況感指数は56.9と市場予想に反して前月から上昇したことも、米景気の先行き期待からのドル買いにつながった。
米連邦準備理事会(FRB)が公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米景気の総括判断を「ほとんどの地域や分野で拡大が続いた」と評価。1月から大きく変えなかったため、相場の反応は限られた。
この日の円の高値は119円47銭、安値は119円80銭だった。
円は対ユーロで大幅に続伸し、前日比1円20銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=132円55~65銭で終えた。ユーロが対ドルで大きく下げたことを受け、対円でもユーロを売る動きが活発になった。
ユーロは対ドルで5日続落した。前日比0.0095ドル安い1ユーロ=1.1075~85ドルで終えた。一時は1.1062ドルと2003年9月9日以来およそ11年半ぶりのユーロ安・ドル高水準を付けた。新たな取引材料に欠くなか、5日の欧州中央銀行(ECB)理事会を前に思惑的なユーロ売り・ドル買いが膨らんだ。
この日のユーロの高値は1.1145ドルだった。
カナダドルは米ドルに対して上昇した。前日の1米ドル=1.25ドルちょうど前後から1.24ドル台前半まで水準を切り上げた。カナダ銀行(中央銀行)が4日、政策金利を現行の年0.75%で据え置くことを決め、カナダドルを買う動きが優勢となった。