独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が24日発表した2016年12月期の通期決算は、純損益が51億4400万ユーロ(約6070億円)の黒字だった。ディーゼル車の排ガス規制の不正逃れ問題で対策費が膨らんだ前期は過去最大の15億8200万ユーロの赤字だったが、黒字に転換した。
VWは16年のグループ世界販売台数が前年比3・8%増の1031万台と過去最高となり、トヨタ自動車を抜いて初の世界首位に立った。これを受け、売上高は2172億6700万ユーロと前期より1・9%増えた。15年9月に発覚した排ガス不正問題によるリコール(回収・無償修理)などの対策費は前期の162億ユーロから64億ユーロに減った。
ただ、純損益の黒字は108億4700万ユーロだった14年12月期と比べるとまだ半分程度にとどまる。VWは17年の販売台数について前年をやや上回るとの見通しを示し、売上高も前期比で最大4%増を見込んだ。
VWは同時に役員報酬制度を見直し、17年から報酬に上限を設けると発表した。上限額は取締役会長が1千万ユーロ、残りの取締役が550万ユーロで、従来の制度で役員が最大限得られた報酬額と比べると40%減ることになるという。VWは前期が大幅な赤字にもかかわらず、多額の役員報酬を支払ったことに株主から批判が出ていた。(ロンドン=寺西和男)